【ヒューマンエラー対策の考察 連載目次】
1.ヒューマンエラー(ポカミス)オフィス業務の課題
オフィス業務・間接業務でのヒューマンエラーはモノや機械の取り扱いミスの代わりに「情報の受け取り、加工、保管、配付」に関わる場合がほとんどです。人的ミスを減らして、作業効率をアップしていくためにも、業務の様々な問題にメスを入れることが必要です。(図1.参照)
図1.間接業務の対策フロー
オフィス業務は、作業が個人に依存したやり方、標準化がされていないため本人しか分からないという業務も多くあります。直接の上司も、担当者がどうやって毎日の仕事を処理しているのか?本人に聞かないと分からないのです。
事例1.請求書
問題点:会計課のGさんは、取引先から請求書を受け取ったが、後で処理しようと思っている間についつ
い忘れてしまい、指定された支払日にまで支払処理ができなかった。本人のうっかりミスであり
ながら、会社の管理レベルが低いと見なされ、信用を傷つけた。
対応策:請求書を受け取ったことをトリガーに処理するのではなく、取引が発生した時点で記録してお
き、たとえ請求書が届かなくても、支払する必要があることを把握できるシステムを導入する。
事例2.ダブルチェック
問題点:パートで働くWさんは、封筒へ書類を入れる作業中、内容と封筒の宛名の整合確認を怠り内容を
取り違えて封入してしまった。
対応策:封をする前に再度確認する、2人でダブルチェックする、窓あき封筒を採用する、など
事例3.公的申請
問題点:公的機関に提出するために、ロットごとにサンプルを抜き取って、成分分析データを取得、提出
書類を作成する担当のKさんは、提出期限に間に合わせるため前回取得データをアレンジして提
出書類を作成しました。公的機関はほとんどデータの内容はチェックしないため、Kさんは時々
このようなやり方で、書類を作成しています。ところがある時、市場にて製品のロット不良が発
生したため、公的機関立会で分析を行ったところ申請データと異なっていることが判明し大きな
問題となりました。
対応策:問題のある書類が作成され、社外へ出てしまうのは、管理が不在であると言えます。管理者は、
データの妥当性をすべてチェックすることはできませんが...
、書類作成担当者が、毎日の業務をど
のような手順で行っているのか把握しておく必要があります。方法はいろいろありますが、時々
データの妥当性に関するヒヤリングを行うあるいは、成分分析を行っている現場を巡回するなど
です。