データ指向、IT要員育成が製品開発基盤構築のカギ 製品データ管理の導入 (その8)

 

【目次】

 前回の第6回は、顧客要求の柔軟な対応や効率化のための作業改善が、業務で使う管理台帳やマスターデータの派生を増やし、その結果開発業務の滞留を引き起こしてしまうことを解説しました。今回はこのような問題を解決するために、PDM/PLM を利用した製品開発業務の IT 化をどのように考え、進めるたら良いのかについて解説します。

◆関連解説『情報マネジメントとは』

1.全体最適となるデータを設計

 実際、開発現場で扱う部品や部品表、図面に関するデータは相互に関連しているので、図1に示すように様々な問題を引き起こします。
   
図1.管理台帳が増えることで引き起こすトラブルや滞留
 
 図1のように

 といったトラブルが発生し、その対応に時間をとられることで全体の業務効率を下げてしまうのです。現場で個別に対応していて管理台帳を変更したり増やしたりしている限り、このような状況になってしまうことを避けるのは困難です。

 Excel など慣れ親しんだツールを使ってデータを管理するというのは開発業務における IT 化の第一歩です。しかし、製品開発の上流から下流までを視野に入れた全体最適となる業務やデータの設計を行わなければ、IT 化による効果は非常に限定的なものになるばかりか、かえって非効率なことになってしまいますので十分な注意が必要です。
 また、ISO などの影響かもしれませんが、業務フローばかりに注意を向けて規定化することが全体最適と考えている開発現場も少なくないようです。PDM/PLM 導入など IT 化を成功させるために大切なのは、業務に注目して効率化をするというよりも、個々の業務で必要となるデータに注目して全体最適となるデータとその流れを設計するということです。図2のように、この連載で解説している設計・製造リンクのような考え方が必要不可欠なのです。

図2...
.設計・製造リンクはデータ視点による開発業務の全体最適化

 設計・製造リンクは受注から始まり設計や手配、製造といった一連の業務(開発工程)に必要なデータを適宜提供し、データによってそれぞれの業務をスムーズにつなげる開発のプラットフォームです。データ視点で開発全体の最適化を行うことで、進化する技術や部品への追従、新規顧客や新規領域の開拓、厳しい顧客要求への対応、技術者のさらなるレベルアップなど外部や内部環境の変化にすばやく柔軟に対応することができるのです。
 
 次回は、PDM(製品データ管理)導入を成功させるカギ 第7回:データ指向、IT要員育成が製品開発基盤構築のカギ(その2)です。

↓ 続きを読むには・・・

新規会員登録


この記事の著者