PLM/PDM からなる設計・製造リンクは、自社の開発に合った固有の業務基盤であると同時に、ビジネス拡大のために継続的に成長させるべきものなのです。この認識があれば、片手間にシステム導入を行ったり、システムベンダーに丸投げすることはないはずです。自社内に設計・製造リンクを構築するための IT 要員を置き、自社内に自社の開発における脳発を IT化するための知見・スキルを蓄積することが必要不可欠です。
3.IT化要員の育成
自社内で IT 化要員を置き、全体最適となるような設計・製造リンクを構想し設計した上で PDM/PLM の導入・構築に取り組むことができれば、その実装方法の選択肢も広がります。例えば自社の設計・製造リンクに合うパッケージを購入して自分たちで設定やカスタマイズをすることもできますし、要求仕様を具体化した上で実装はシステムベンダーに任せることもできます。もちろん市販のデータベースを使って自分たちで最初から開発することもできます。いずれの実装方法であっても、自社の IT 化要員が全体を構想・設計しているので、顧客要求の変化や効率化のための業務変更などに迅速に対応することが可能です。
図3は、あるメーカーで設計・製造リンク構築を進めるために関係している部署からメンバーを出してもらい作ったチームです。メンバーにはPLM/PDM の導入などの設計・製造リンク構築の実務を担当してもらうととともに、今後の IT 化を進める中心的役割を担う人材となるためのトレーニングを実施しています。そのため、各メンバーには設計などの自分に関係する業務領域を担当してもらい、実務を通じて業務分析・設計やシ...
ステム設計、業務やデータフロー設計などのスキルを身につけてもらいました。
図3. 設計・製造リンク構築チーム
このメンバーで、各種 CAD や PLM、製造における自動機の導入など、設計・製造リンクのシステム構築を行い「開発期間の半減達成」など大きな効果を上げています。実際の育成方法は別の機会に紹介したいと思いますが、トップが決断すれば社内のメンバーで IT 化を進めることが可能なのです。
設計・製造リンクを構築することは、インダストリ 4.0 や IoT に対応するための大前提にもなっています。ビッグデータを活用し外部との密なネットワーク化を進めるには、まずは自社内のデータ化、ネットワーク化ができている必要があるからです。インダストリ 4.0 などの新しい時代で製品開発を継続するためには、製品の設計・製造のための技術者育成と同様に、製品開発のための IT 基盤構築のための技術者の育成にも力を入れることは、企業規模にかかわらず重要です。