【目次】
- 製品データ管理の導入 (その1) PDM/PLMの概要
- 製品データ管理の導入 (その2) 「リンク」で開発を変える
- 製品データ管理の導入 (その3) 部品データを活用した全体最適設計の仕組み
- 製品データ管理の導入 (その4) 部品データを活用した全体最適設計の仕組み
- 製品データ管理の導入 (その5) アセンブリ単位に CAD リンクで作る部品表
- 製品データ管理の導入 (その6) 生産工程標準化による製造性設計と原価の最適化
- 製品データ管理の導入 (その7) 顧客対応や業務効率化が業務の滞留を引き起こす
- 製品データ管理の導入 (その8) データ指向、IT要員育成が製品開発基盤構築のカギ
- 製品データ管理の導入 (その9) データ指向、IT要員育成が製品開発基盤構築のカギ
この連載では、PDM/PLM(以下、PDM:製品データ管理)の導入・運用をシステムベンダー主導ではなく、自社の設計・製造をデータで「リンク」することにより設計、製造、保守といった開発の全体最適を実現する仕組みを設計し、PDM を使って実装するためのポイントを解説しています。
1.台帳が増え続けるで業務効率が低下
このメーカーは、これまでに使った部品すべての型式や購入価格などを Excel で作成した部品台帳に、また設計図面やその作成日、作成者などは図面管理台帳、そして製品の部品構成(部品表)を部品構成台帳にそれぞれ Excel ファイルとして記録し管理していました。この他にも、製品開発業務で必要となる共通データは台帳にして管理するなど、これらすべての管理台帳は Excel で作成していました。
Excel で作成したこれら台帳は、誰もが簡単に扱うことができ、検索などもできるので技術者全員が便利に使っていたのですが、開発している製品ラインナップが増えたことで、一つだった設計部署が3つに分かれ、さらに新しい顧客向けの製品の開発・製造を行う事業所が新設されるのと並行して部品コードや部品発注方法の見直しなどの業務改善活動を行う中で、次のようなことが起きました。
2.増えた台帳が滞留を引き起こす
部品データが記載されているすべての管理台帳には部品型式が登録されており、さらに部品構成表(部品表)関連の台帳にも部品型式が登録されていますので、新規部品を採用した時や変更があった時は、すべての台帳に一字一句間違わないように部品型式を登録しなければなりません。部品型式だけでなく、部品名称や価格なども同じように複数の台帳に登録されていると、部品名称や価格が変わるたびにすべての台帳を漏れなく更新しなければなりません。