新しいQCサークル活動の在り方とは
2017-08-10
QCサークル活動がうまくいかない、進まない、沈滞気味などの悩みを抱えている企業は非常に多く、活性化を図るにはどうすればいいか、様々な取り組みを模索しています。今回は、新しいQCサークル活動の在り方を考えてみましょう。QCサークル活動を主体とするTQCや、その後導入が進んだISO9000の品質マネジメントシステムも、ものづくりの「現場の実態」から大きくかけ離れてたものになっています。
TQCは実際はQCサークル活動を主体とした、現場からのボトムアップの活動でした。日本のものづくり発展期には、品質への意識の高まり、統計的手法の普及など一定の成果を上げました。しかし、1960年代から始まったQCサークル活動も、バブル崩壊と共に下火になり、その間にものづくりの環境も激変しました。
グローバル競争激化、市場の成熟化、多品種少量生産などの要求に対して、品質管理の役割も変化しています。今、ものづくりに求められているのは、第一に価格、第二にスピード、第三にサービスです。品質は市場では絶対にトラブルを起こしてはいけない、クレームゼロが求められています。
黙っていてもモノが売れた時代のボトムアップのQCサークル活動をそのまま、今導入しても、市場の満足を得られるモノは作れないのです。毎日作るモノが変化する製造ラインで、間違いのない製品を速く、安く作るには工場全体のモノの流れや、受注から出荷までの情報の流れ、協力工場も含めた生産管理体制構築が必要になってきます。
もちろん、現場の問題を一つ一つ解決していくことは重要です。ただそれは、一部署だけの最適な方法を考えるのではなく、全体最適化を考える必要があるのです。従来の職場ごとのバラバラのテーマで活動するQCサークル活動のやり方では、もう得られる効果は少ないのです。
また、不良流出ゼロを実現するには、上流工程の未然防止対策が不可欠です。現場の悪さを「カイゼン」するQCサークル活動では、小ロット品はすぐに生産が終わってしまうので、対策が間に合いません。未然防止の予防対策は、モノを作る前に実施する必要があるのです。
そして、不良の流出を防ぐには、何がなんでも流出を抑えるための監視、処理手順、組織体制づくりを行い、スピード解決させる必要があります。QCサークル活動の結果を待って解決するのでは遅いのです。
1990年代に入るとISO9000の取得ブームが到来しました。今度は、欧米流のトップダウンの方針のもとに品質管理を行おうというものです。今までの日本のボトムアップ方式の品質管理とは正反対のシステムを構築しなければならなくなったのです。
そこで、新しい改善活動方式として脚光を浴びたのがトヨタ生産方式の導入を図る「JIT改革」や設備関係の運用改善を図る「TOM」、また「5S」活動などの、全社プロジェクト活動です。トップ方針が出され、強力に推進する活動はプロジェクトリーダーの指揮のもとに、課題解決までの一定期間活動を行います。
では、従来からのQCサークル活動はどのように継続させて行ったら良いでしょうか。現場レベルで課題を解決していく活動は現在も有効です。但し、バラバラのテーマを勝手に決めるのではなく、トップ方針・目標に従って、各部署がその一部分の役割を担いな...
がら活動して、会社のQCD目標に貢献することです。活動が終わったら何も残らないのではなく、品質システムの改善案を提示し、ルールの見直しや、ノウハウシステムの充実・継承などを行っていくことが求められます。それには、品質保証部や経営層の関与、支援が必要となって、これが「全社的品質管理(TQC)」にもつながって行くのではないでしょうか。
サークル活動に当たって、従来はメンバーがQCストーリーやQC七つ道具を習得しました。しかし、これからはこれらに加え、「方針管理」や「プロジェクト活動」そして何よりも、「未然防止対策」のノウハウを習得していくことが重要です。