品質トラブルの対策で、「もぐらたたき」と「再発防止」と「水平展開」の違いは何かを考えてみます。まず、トラブル対策のレベルを①~③に分類します。
1. もぐらたたき
思い付きやカンに頼った対策、個人のミスで済ませてしまう対策のことです。現場へも行かず、オフィスにいたまま、頭の中で原因を考えて対策するのです。過去の経験に頼って今回も同じと思い込む、背後のしくみの欠陥を追究せずに、ポカミスで済ませてしまうのです。
2. 因果関係の究明と対策
発生した固有な問題を【三現主義】、データに基づいて、なぜ発生したのかを論理的に解明し対策することです。そのためにはプロの知見が必要です。固有な問題は「再発防止」が図られます。
【三現主義】
・現場重視
現場に行くことは重要ですが、現場の何に注目するのか?を理解していなければなりません。
① 人の状況(作業者、監督者)
② 機械設備、治工具の状況
③ 工程全体、作業環境
・現物重視
製品の状況を詳しく観察しましょう。
① 製品のどこに傷がどの方向についているのか。拡大鏡を使って丹念に調べます。
② 発生頻度を調べます。
③ 部品、材料の状況についても同様です。
④ 良品との比較も行います。
・現状重視
時間的空間的な変化、事実を確認します。そのために日常管理の状況をくまなく調査します。
① 生産、品質の推移記録
② 4M変化点の有無
③ 測定デ-タ・ばらつき・統計
3. しくみの欠陥の解明と対策
類似の問題も含め発生を防ぐ「水平展開」を図って「予防する」には、日常管理のしくみの見直し、人事制度の見直し、組織の見直し、または新たな設備の導入等も対策の対象と考え、工場全体をカバーする汎用性を持たせる事がポイントとなります。この対策によって類似問題も含め完全に「再発防止」が図られます。
4. 未然防止の3種類の考え方
(1) 工程を設計する、あるいは工程を準備する段階で、あらゆるトラブル発生を予測して、事前に対策を組み込んでおく。(例えば、ポカよけ治具をあらかじめ準備しておく)
(2)...
製造工程で、普段とは違う異常な事象、不良ではないが予兆(ばらつき大・規格ぎりぎり)を発見して、原因究明と対策を行う。(
4M変化点管理)
(3) お客様に迷惑を掛けないために、自動検査ロボットを導入して、全数検査を実施し、流出を未然に防止する。