「地域団体商標」の活用とは
2018-01-11
毎年数回、地域の機関から依頼を受けてセミナーを行っていますが、最近は、知的財産権について話してほしい、というような「制度」の解説を求められることはほとんどなく、「地域の活性化」「伝統産品の流通促進」「農業の六次産業化」などに知的財産がどのように活用できるのか、というテーマを依頼されることがほとんどです。その中で、ほとんどの場合「地域団体商標の活用」についても話してほしい、という要望を受けることになります。
セミナーの前に町を歩くことにしているのですが、ある町では、地域団体商標として登録されている産品が売られていない。季節商品というわけではないにもかかわらず。町では「**が地域団体商標に登録されました」という古びた張り紙を発見することができましたが、商品がないのです。セミナーの担当者に「町ではほとんど見ないですね」と聞いてみますが、泊まった宿でもでてこないのです。このような体験は一度だけではなく、地域団体商標以外の「伝統産品」と町や市のホームページで紹介されている商品が売られていないことも珍しくありません。
有名な観光地と言える場所とはいえなくとも、観光案内所があり、「散歩マップ」なども配布している地域でもこのような実情です。「広めようとする意欲」、「地域団体商標」を販促ツールとして一人でも多くの地域外の人の目に触れ、買ってもらうようにしよう、という意欲がみられないのです。
「普及組織による商標・地域団体商標活用事例集」(農水省)(http://www.jadea.org/houkokusho/chizai/files/shohyou-katsuyou-jirei.pdf)には、商標の活用・ブランド化に関して次の記載があります。「地域団体商標」を活用して市域を活性化するためには、ここに書かれた取り組みを実践することが必要です。このような取り組みを支援することが「地域団体商標」の本来の趣旨ではないでしょうか。
要は「マーケティング」感覚です。そして、次の(1)~(5)は普通の「商標」をブランド化しようとする場合にも当てはまります。
取組にかかわる関係者全員が、商標の活用方法を含むブランド化戦略を共有し、一体的に取り組むための意識形成の場が必要です。
生産者等の中に、商標の管理・活用を含めたブランド化の取組を継続的にマネジメンのトできる人材が必要です。
消費者の信頼...
を裏切らないよう、品質と表示をコントロールすることが適当です。
取組主体が販売チャネルを適切にコントロールできることが必要です。
価値を効果的に伝え、顧客の信頼に結びつけていくマーケティングの取組が重要です。