今回は、潜在ニーズを発掘するための技法である『グループインタビュー』について具体的に解説します。
1. グループインタビューの会場に最適な環境とは
商品企画七つ道具の場合、顧客の本音が聞くことが大前提です。グループインタビューの実施と言うことは、参加するターゲット層はほぼ同じですが、本音が違うことが面白く、これが新仮説になり新価値創造に繋がります。
グループインタビューは解説書を紐解くと、専門のインタビュースタジオを使うとよいと書かれています。なぜ、社内の会議室では問題なのでしょうか。私も失敗したことがあります。商品を企画する本社の会議室でグループインタビューを実施して、大失敗しました。
オーディオ機器のグループインタビューで、司会者は私と企画担当者、参加者は成城大学神田ゼミの学生男女6名でした。
・オーディオ機器の本社受付で企画担当者を待ちます。
・その後、会議室へ通されます。
・その道筋、この会社の製品方針や製品の歴史が並んでいます。
・さらに会議室に入り、そこには企画担当者の上司、部下が参加者席のまわりを囲んでいます。
・大学生の本音が知りたく、15名くらいの担当者が入っています。
・机上にはオーディオ機器が並んでいます。
私の司会進行でグループインタビューが始まりました。私のよく知る大学生ですが、会話が弾みません。さらに会話の相乗効果が出てきません。私の隣に座っている学生が、耳打ちしてきました。「話しにくいです!」
なぜ話しにくかったのでしょう。
【話しにくい理由】
(1) 主催者の企業であることが多いので、企業名がわかります。
会社名が明確になって、主催企業や製品の批判がしにくいのです。
(2) 主催者の企画担当者が多く会場に入っていることがあります。
インタビュー会場に司会者以外の方が要ると見られている気分になって話しづらくなります。
(3) 参加者が自社の会議室をイメージしてしまいます(大学生では関係ありません)
参加者が会社員ですと会議室の悪いイメージを思い出します。
以上のように、回答者の本音を引き出すのであれば、自社の会議室等は辞めた方が無難で、次のようなスタジオが有効です。
2. グループインタビュースタジオ
(1) 参加者と主催者の会場(話す場所と観察する場所)が別れています。
(2) 企業名や商品名が明らかにすることもなく実施できます。
(3) マジックミラーがあって多少違和感がありますが、会話はしやすいのです。
(4) 回答者のテーブルが円形で、座る位置による上下関係がなくなります。
(5) 録音機器、撮影機器が充実しています。
私がグループインタビューで使ったスタジオで先進的な設...
備を備えています。東京都内や大阪、名古屋には専門スタジオがあります。
3. グループインタビュースタジオ以外
(1) カラオケボックス:歌は歌いませんが、閉鎖された空間で使いやすい
(2) 居酒屋の個室:多少のお酒が入ると滑舌が良くなります
本音を引き出すのが目的ですから、日常業務とかけ離れた場所が成功するようです。
【関連解説:商品企画七つ道具】