TRIZで技術アイデアを発想する

1. TRIZとは

 
 今回はTRIZというアイデア発想法を紹介します。これは1940年代にロシアの発明家であり特許審査官でもあったG.アルトシュラー氏が、毎日たくさんの特許を審査しているうちにそれらアイデアに共通点を見出し、いくつかの法則としてまとめたものです。当時は東西冷戦の最中で、西欧に対して秘密とされる一方でロシア国内では小学校から教育に使われ、宇宙開発競争でも威力を発揮したと伝えられます。
 
 東西冷戦が終了し旧ソビエト連邦が解体した直後にはTRIZが米国へ渡り、その後から日本に伝わったため、国内では20年弱の歴史しかなく、まだ産業界で十分に認知されているとは言い難いのですが、大手企業を中心に活用が拡大しています。
 
 技術課題への解決アイデアが出ない場合はもちろん、既に出ている場合でも、より多くのアイデアの中からベストなものを選択する事で、開発設計終盤になってからの後戻りを防止する事が可能となります。
 
 実は、当社で紹介している180種類以上の解決キーワードの中で、アイデア発想法は群を抜いて種類が多く、それだけ産業的な需要が多いと考えられます。
 
 しかしほとんどの手法は商品企画や一般的な問題解決に使われるものであり、私が知る限り技術課題に特化したアイデア発想手法はTRIZ以外にありません。ものづくりに関連する皆さんには是非使っていただきたい手法です。
 

2. TRIZの概念

 
 TRIZの概念を図に表すと、次のようになります。
 
 
 すなわち問題をいくら考えても直接の解決策が思い浮かばない時に、図の上半分にあるTRIZの世界を利用します。そこには一般的な問題と、それに対応する解決策のペアが数多く用意されていますから、それらの中から現実の問題に近い一般問題を見つけ出せば、自動的に一般解を手に入れることができます。そしてその一般解を現実問題に照らし合わせて、現実の解決策を考えるのです。
 
 一見遠回りですが、左から右はあっという間に出ますから、下から上、上から下の矢印に相当する作業に慣れてくると、短時間で多くの名案が浮かぶようになります。
 

3. TRIZを使う

 
 元祖のTRIZは10種類ほどのサブツールから成り立ち、課題に応じて使い分けるのですが、それぞれを知っていないと使い分けられない訳で、ちょっと敷居が高いという印象がありました。現在ではそれらを包含した支援ソフトウェアが発達しており、それらを使うのが一般的です。そのソフトが結構高額であり、購入する資金が...
あって複数部門で共用できる中堅以上の企業が主なユーザーになっています。
 
 しかし考えてみればアルトシュラ―がこの発想体系をまとめていたころは、一般人がコンピューターを使うことは全く想定されておらず、インターネットの概念すら生まれていません。つまり高額なソフトウェアを前提としない利用の仕方があるわけです。まずはそんなTRIZから使ってみることをお勧めします。
  

◆関連解説『TRIZとは』

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