【インタビュー調査、評価グリッド法 連載目次】
商品企画七つ道具には、顧客の本音を聞くために、インタビュー調査がありますが、二つあるインタビュー調査、グループインタビュー、評価グリッド法、から今回は「評価グリッド法」を解説します。
今回は、その1です。
1. 評価グリッド法とは
評価グリッド法は讃井氏が研究した「レパートリーグリッド発展手法」を改良したものです。基本的には、顧客に商品や仮説案を2つずつ組み合わせを提示して、「どちらが買いたい」「それはなぜか」を尋ねて、顧客の商品や仮説案評価の構造を系統図にまとめる手法です。グループインタビューと比較すると、次のように整理できます。
メリット
・一対一のヒアリング形式で実施しやすい。
・時間や場所の制約が少ない。
・実施者がマニュアルあるので実施しやすい。
・発言の構造をまとめやすい。
デメリット
・自由奔放な発言はでにくい。
・発言の膨らみがない。
・潜在ニーズの発掘がしにくい。
2. 評価グリッド法の歴史
G.A.Kellyは臨床心理学での治療目的として、レパートリーグリッド法を生み出します。3人の人物を取り上げ、その中の2人に共通で、1人に異なる特徴を挙げさせて、認識能力を高める手法です。さらに、D.N.Hinkleはラダーリング手法である、抽象化および具体化する手法からアメリカでのマーケティングで活用される方法になります。
実務での応用は、イギリスサリー大学のP.Stringerはスーパーマーケットでの環境評価に活用しました。讃井氏は建築分野での成果がデザインを中心に評価を研究し、住み心地や安全性、外観などと重視点が異なることに着目し、施主の住宅評価構造を解明するために、レパートリーグリッド発展手法として、実務で活用しました。その例は住宅のニーズ調査、オフィス環境のニーズ調査があります。
3. 評価グリッド法の手順
(1) 目標設定
どんな商品や仮説案を評価し、活用を明確にします。
(2) インタビューアーの決定
グループインタビューほどの司会者の専門性は必要はありません。グループインタビューと比べるとヒアリング項目が決まっているので、企画担当者でも十分にできます。顧客に本音が聞ける状況にはしましょう。
(3) 評価アイテムの選定
具体性のある実物、カタログ、資料などの比較対象を用意します。できるだけ実物に近い方が、意見は多く出ます。
① 範囲は広めに
比較する対象が狭い範囲ですと、回答者が比較に困ります。機能が似ているスマートフォンを写真で並べても、比較しにくいのです。スマートフォンを並べる場合、デザインに特化したものや、機能に特化したものなど、特徴あるものを入れましょう。
② 比較対象は多めに
比較対象が少ないと偏った回答になるために、評価自体が怪しくなります。5~8種類くらいがお勧めです。但し、比較対象数が多いと、組み合わせ数が増大します。
③ 表記方法
文章で特徴が述べてあるカタログ類は比較時に言葉が出やすいです。実物評価は外観やデザイン評価の場合は重要ですが、機能評価の場合は、実物でなくても評価できます。
(4) 時間、場所、環境
グループインタビューと異なり、特にいつでもどこでも構いません。
(5) 回答者の選定、依頼
回答者は10人位できれば十分です。回答者の意見は(7)で集約してまとめます。
(6) インタビューの実施
インタビューアーは回答者に以下の実施方法の1)と2)を繰り返します。回答は記録を取ります、必要であれば録音します。
① 評価項目の抽出
2つの比較対象を見せて、好ましい方、買いたい方を聞きます。その理由を聞きます。自発的な発言を求め、誘導してはいけません。
② ラダーリング
回答者が述べた評価基準の一つについて、その上位概念(価値観)と、その下位概念(具体的要望)を尋ねます。
【実施方法】
1)インタビュー1:商品や仮説案の評価用語の抽出
Q.AとBとでは、どちらが買いたいと思いますか?
A.Aです。
Q.なぜAの方が買いたいのですか?
A.Aの方が○○だからです。
Q.他には、どうですか?
A.Bは××なのが嫌です。
Q.次の組み合わせに行きます、CとDではどちらが買いたいと思いますか?
A.Dです。
Q.先ほどと同様に、なぜ買いたいのですか?
A.Dは◎◎なのが魅力です。
以下、組み合わせを変えて実施します。
2)インタビュー2:ラダーリング(上位概念、下位概念の導出)
<上位概念>より抽象化した、価値観を問いましょう。
Q.あなたは何のために◯◯なものを...