マトリックス・データ解析法 新QC七つ道具:第1章 混沌解明とN7(その2)

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【目次】
序論   ←掲載済
第1章  混沌解明とN7(新QC七つ道具)←今回
第2章  挑戦管理とN7の選択
第3章  連関図法の使い方  
第4章  親和図法の使い方   
第5章  マトリックス・データ(MD)解析法の使い方 
第6章  マトリックス図法の使い方 
第7章  系統図法の使い方 
第8章  アロー・ダイヤグラム法の使い方 
第9章  PDPC法の使い方 
第10章 PDCA-TC法の使い方
 

第1章 混沌解明とN7(その2)

 
 前回のその1に続いて解説します。
 

1.3.2 混沌の原因が評価基準に関する場合

 
 激動の時代にあっては物事の評価基準が激変し、企業活動の戦略・戦術の革命的転換を迫られることになります。その場合、転換すべき内容や方向が明確な場合は決断の問題であるが、多くの評価項目が相互に影響し合って最終評価に至るような場合は、転換内容や方向がつかみきれず、暗中模索の事態に陥ることが多く、このようなケースが“混沌C”です。
 

・混沌C:総合的評価規準が変化した場合

 

【選択手法】マトリックス・データ(MD)解析法

 

【選択理由】

 
 この場合は、評価項目が多く相互に複雑に関係しているため、目指すところがはっきりしないために起こるもので、関係者の実感は“困惑”“混迷”に近い。その点、多変量解析の主成分分析であるMD解析法は「多くの変数(この場合は“評価項目”)の相互関連を分析して、少数の総合的特性値(評価項目)にまとめる手法」(注1-2) なので、手に負えなかった多くの評価項目から求められた少数の総合特性値を使って目指すところを明確にすることができるのです。
(注1-2) 「複雑さに挑む科学」柳内晴夫、岩坪秀一(講談社ブルーバックスB-297) P.62。本書の副題に“多変量解析入門”とあるが、多変量解析の本質が、ある程度の数理をもとに、非常に分かりやすく解説されている。
 
 

1.4 まとめ

 
 以上の通りN7には、21世紀型スタッフワークの起点ともいうべき「混沌解明」に対して必要にして十分な手法が網羅されており、改めて手法選択にみる提唱者の先見の明に感じ入る次第です。特に、MD解析法(主成分分析)が含まれていることは、これ以外にも多くの有用な手法を包含する“多変量解析”への橋渡しという意味で画期的といえます。
 
 また、今回改めてN7の本質究明に挑戦して分かったことであるが、スタッフが取り組まざるを得ないレベルの「混沌の解明」は、従前の“ステップ思考”主体のQ7やSQC手法の範疇ではなく“ウエブ思考”の範疇であり、 N7の中にそのニーズに応えるものを含んでいることが“余法をもって代え難い”との印象を生んでいるといえるでしょう。最後に、本章の説明内容を、整理して簡潔にまとめたのが表1-2です。
 
 表1-2. 混沌の分類と解明に役立つN7
  QC7つ道具
 
 ところで、「本書の特徴と読み方」の中で、比重が8割としたようにこの「混沌解明」こそが21世紀の経営戦略の勝負どころであり、的確な取り組みが望まれるところです。その場合、解析対象の混沌がA、B、Cのどのタイプなのかの把握が取り組みの起点であり重要であることは前述の通りであり、筆者が最も注力してきたところです。
 
 基本的にはその通りであり、取り組みに際しては避けて通れないステップであることには変わりないのですが、問題はAかBかが定かではないときの対処です。
 
 その点については、今回の執筆に際して過去に取り組んだ連関図法のデータを再度徹底的に解析した結果、混沌Bの解決方針を示唆するようなリポートに行き着くという発見があり、第3章の連関図法の説明の最後に言及するところとなっています。詳細は本論に譲りますが、どちらか定かではないときは、この連載の提唱するレベルのステップを...
【目次】
序論   ←掲載済
第1章  混沌解明とN7(新QC七つ道具)←今回
第2章  挑戦管理とN7の選択
第3章  連関図法の使い方  
第4章  親和図法の使い方   
第5章  マトリックス・データ(MD)解析法の使い方 
第6章  マトリックス図法の使い方 
第7章  系統図法の使い方 
第8章  アロー・ダイヤグラム法の使い方 
第9章  PDPC法の使い方 
第10章 PDCA-TC法の使い方
 

第1章 混沌解明とN7(その2)

 
 前回のその1に続いて解説します。
 

1.3.2 混沌の原因が評価基準に関する場合

 
 激動の時代にあっては物事の評価基準が激変し、企業活動の戦略・戦術の革命的転換を迫られることになります。その場合、転換すべき内容や方向が明確な場合は決断の問題であるが、多くの評価項目が相互に影響し合って最終評価に至るような場合は、転換内容や方向がつかみきれず、暗中模索の事態に陥ることが多く、このようなケースが“混沌C”です。
 

・混沌C:総合的評価規準が変化した場合

 

【選択手法】マトリックス・データ(MD)解析法

 

【選択理由】

 
 この場合は、評価項目が多く相互に複雑に関係しているため、目指すところがはっきりしないために起こるもので、関係者の実感は“困惑”“混迷”に近い。その点、多変量解析の主成分分析であるMD解析法は「多くの変数(この場合は“評価項目”)の相互関連を分析して、少数の総合的特性値(評価項目)にまとめる手法」(注1-2) なので、手に負えなかった多くの評価項目から求められた少数の総合特性値を使って目指すところを明確にすることができるのです。
(注1-2) 「複雑さに挑む科学」柳内晴夫、岩坪秀一(講談社ブルーバックスB-297) P.62。本書の副題に“多変量解析入門”とあるが、多変量解析の本質が、ある程度の数理をもとに、非常に分かりやすく解説されている。
 
 

1.4 まとめ

 
 以上の通りN7には、21世紀型スタッフワークの起点ともいうべき「混沌解明」に対して必要にして十分な手法が網羅されており、改めて手法選択にみる提唱者の先見の明に感じ入る次第です。特に、MD解析法(主成分分析)が含まれていることは、これ以外にも多くの有用な手法を包含する“多変量解析”への橋渡しという意味で画期的といえます。
 
 また、今回改めてN7の本質究明に挑戦して分かったことであるが、スタッフが取り組まざるを得ないレベルの「混沌の解明」は、従前の“ステップ思考”主体のQ7やSQC手法の範疇ではなく“ウエブ思考”の範疇であり、 N7の中にそのニーズに応えるものを含んでいることが“余法をもって代え難い”との印象を生んでいるといえるでしょう。最後に、本章の説明内容を、整理して簡潔にまとめたのが表1-2です。
 
 表1-2. 混沌の分類と解明に役立つN7
  QC7つ道具
 
 ところで、「本書の特徴と読み方」の中で、比重が8割としたようにこの「混沌解明」こそが21世紀の経営戦略の勝負どころであり、的確な取り組みが望まれるところです。その場合、解析対象の混沌がA、B、Cのどのタイプなのかの把握が取り組みの起点であり重要であることは前述の通りであり、筆者が最も注力してきたところです。
 
 基本的にはその通りであり、取り組みに際しては避けて通れないステップであることには変わりないのですが、問題はAかBかが定かではないときの対処です。
 
 その点については、今回の執筆に際して過去に取り組んだ連関図法のデータを再度徹底的に解析した結果、混沌Bの解決方針を示唆するようなリポートに行き着くという発見があり、第3章の連関図法の説明の最後に言及するところとなっています。詳細は本論に譲りますが、どちらか定かではないときは、この連載の提唱するレベルのステップを踏むことが前提ですが「まずは連関図法から」というのがよさそうであることを前もって言及しておきます。
 
 次回は、第2章 挑戦管理とN7の選択の解説に入ります。
 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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