「即興劇」でコミュニケーション活性化 CS経営(その36)

 
 
 

◆なぜ、あの企業の「顧客満足」はすごいのか

5. 「即興劇」でコミュニケーション活性化-株式会社インプロジャパン

(3) マナーを身につけずに大人になった管理職たちの悲劇

 同学年同士ならコミュニケーションは図れるが、学年や年齢が1つ上、1つ下になると途端に対話ができなくなる子供たちが増えているというのです。結果、ご近所を含めたそれ以外の人々、とくに大人とのコミュニケーションにはしり込みすることになります。
 
 10年もすれば、このような子供たちが成長し、社会人になりまあす。子供たち個人の生活や人生において、非常に憂うべきことと捉えられますが、さらにこの子たちがビジネスの場に参加するようになると、もっと直接的で大きな影響を及ぼしそうです。
 
 しかし、実は将来のことどころか現状においても、入社間もない営業担当者の態度や姿勢が悪いため、大切な顧客を怒らせてしまったり、電話対応でクレームを引き起こしたり、問題をこじらせてしまうなどということは決して珍しい現象ではありません。
 
 A君とB君は同期だが、彼らが電話に出るとたいていこじれる。メールの文章においては、誤字・脱字・敬語が使用できないなどで相手が怒ってしまう出来事も語られています。ところがこの傾向は実は若者だけではなく、しっかりした躾を身につけてこなかったリーダーにも当てはまるのです。
 
 部下の営業スタッフが、大変な努力をして、受注にまで漕ぎ着けた案件における最終段階において、「マナーが悪い」と顧客を怒らせ、失注してしまうのが、年配の上司だったりするのです。このような残念なケースがこのところ、各社で頻繁に発生しています。きっと、しっかりとしたコミュニケーション能力、気づき、気くばり、気づかい、臨機応変、機転を利かすことができないまま、「年功」だけでリーダーになってしまったのでしょう。社会人として、ビジネスパーソンとして身につけてこなければならなかったエチケット、マナーが欠落しているのです。
 
 そのような状況に危機感を強める企業も多く、インプロジャパンの池上奈生美氏、スタッフの峰松佳代氏が実施しているセミナーなどが好評を博しています。数千年前の壁画に記されていたというたとえどおり、どの時代においても「最近の若者は……」と語られますが、とくにインターネットをはじめ、商品作成、サービス提供などにおいて人と人が直接的に面談するチャンスが減っている分だけ課題が増えているのも事実です。もちろんそうはいいながら、現在においてもマナーや躾やサービス精神を身につけている若者も多いわけですが、その差は大きいといえます。
 

(4) 「顧客が求めていること」⇒「自分の伝えたいこと」

 「顧客対応力」とは、自分が伝えたいことよりも顧客が何を感じているか、求めているのか、何を問題点として案じているかに注力することです。また、「顧客対応力」においては、想像力、創造力・発想力も欠かせません。その力を磨くためには、身の回りで、常に変化し続けている物事をさまざまな角度から観察し、感じ、腹落ちする形で示すというトレーニングが欠かせないのです。
 
 プレゼンもまた、「顧客」不在では成り立ちません。そのため、プレゼン能力を強化するためのインプロを各社が導入しています。...
 
 情報技術がいくら進んでも、たとえ、知能型ロボットが現れても、複雑なコミュニケーションという点については、ロボットに対する期待は薄いのです。結局、この世は、「人」と「人」との関係社会であり、それはビジネスにおいても同じなのです。人間性を磨かなければ企業の存続、発展は存在しません。全員がロボットの会社が誕生するのはまだまだ先の話です。人は千差万別だからこそ、インプロの全方位性とそれをつなぐ「人」づくり、「融合」の課題は重要であり、インプロジャパンの存在は大きいのです。
 
 次回は、6.多国籍化する「立体的コミュニケーション」華道・一葉式いけ花から解説を続けます。
 
【出典】 武田哲男 著 なぜ、あの企業の「顧客満足」は、すごいのか PHP研究所発行
筆者のご承諾により、抜粋を連載
 

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