新製品の特許確認とは
2018-10-12
今回は、新製品が既存の特許を侵害していないか、また特許をとる際にどのような手続きが必要なのかについて解説します。また、特許の調べ方についても合わせて解説します。
まず、製品の製造について、以下の点を明らかにしておくようにしましょう。今後弁理士などの専門家に相談する際に重要です。
(1) 製造するアイデアは御社独自ものかどうか、つまり他に協力者がいないかどうか。新規性の有無、ご自身単独の特許出願の可否に関わります。また、秘密情報としての取り扱いも必要になるからです。
(2) この製造ビジネスはBtoBか、BtoCかどうか。他人の侵害行為を発明に反映させるためです。
(3) 御社が製品を製造して販売するのかどうか。仮に製品が侵害品であればその製造者も販売者も侵害者になり、御社による他社権利侵害リスクの参考になります。
(4) 部品として製造するのか、その部品を含む完成品まで製造するのかどうか。保護すべき発明内容にかかわってきますし、上記3)と同様に侵害リスクにもかかわります。
(5)外国への出願を前提とするのかどうか。出願前に発明の新規性を喪失の事実があるなど一定の事由があると、日本における新規性喪失の例外の適用の救済等がないため発明の保護を受けられない国があります。
特許出願は、出願代理業務を専門とする弁理士に依頼されるか、ご自身で出願するかの2パターンがあります。いずれにしても、願書と願書に添付する明細書等の所定の書類とを特許庁のサンプル書式に沿って作成して出願します。最近ではほとんど電子出願という手続きで行うことになります。
その後、出願日から一定期間内に出願審査の請求の手続きをすると特許庁(審査官)によって審査され、特許できない拒絶理由がなければ特許査定されます。一方拒絶理由があると、意見書や発明の補正書などの提出が必要です。特許査定が出たら、特許料を支払うと特許権を取得し、後日、特許公報がでます。一方、再び拒絶理由が残るとさらに特許庁とやり取りが必要です。権利化後は権利の維持年金の支払いを要します。
一方、実用新案として出願しても容易に権利取得できますが、保護される考案対象が限定されたりいくつかの不都合な点も少なくありません。これは専門家に聞くとよろしいでしょう。
(1) 特許調査は、発明をどのように把握するかによって変わってきます。よって、1回で済むケースはまれです。いくつかの観点から予備調査してから、本番の調査になります。
(2) 特許調査は、発明内容を理解でき、まったく技術に疎くなければ、調査スキルを持った人でしたら、あたらなくても遠くない調査はできます。ですが、発明の適切に把握スキル、特許されるかどうかの判断スキルが調査結果に多大な影響を与えます。
(3)外部に依頼する場合は、特許調査を専門にする企業や弁理士など人気のある所ほど精度がよいでしょう(順番待ちがあるでしょう)。発明推進協会で特許調査のプロによる無料の調査サービスを提供もしていますので、そちらの情報も得るといいでしょう。これらは典型的な専門的知財調査
(4) ご自身の調査ですと、INPITで運営を行う無料の特許等の調査サイト「特許情報プラットフォーム」があります。このINPITで行っている特許調査の講習などを受けてみることをお勧めます。その後他人に調査を依頼する場合でも、一定の知識をもっていない...
と調査依頼した結果の評価もしにくいからです。調査スキルは、発明の把握のスキル及び特許性(特に新規性は重要)判断スキルとセットで磨くほど向上し、いずれは質のよい(役立つ)発明を特許取得し、よい製品を生むことができるようになりますが、ご自身の余力との相談になります。また、自身の発明に特許性があるかどうかの調査手法と自分の製品等の製造販売が他人の権利侵害をするかどうかの調査手法とは同じではありません。目的別に有料講習会も行われております。
その他、各都道府県にある知財総合相談窓口で無料の相談を受けることも考えられます(調査をすべてやってもらえるところではありません)
弁理士(弁理士会の相談コーナーや特許事務所)か知財総合支援窓口に相談なさるとよろしいでしょう。