今回は、次のような想定から、職種転換の進め方について解説します。
1. 職種転換による営業強化
試作金型工場で、従業員は、40名前後で推移している現場ですが、いずれ、3Dプリンターを導入して、工場運営を転換していく経営計画により、その準備として、従業員の職種転換を行い、営業力の強化を行います。定期採用をしていませんので、対象者の年齢が、中高年になります。職人気質の従業員に、この職種転換を理解してもらい進めていくのですが、会社を辞めていかれてはいけないという心配もあります。製造部門から営業への職種転換を行う上での人事的な配慮など、どう運営していけば良いか考えましょう。
2. マインドセット
対象者に営業力強化の必要性を理解してもらい、協力をとりつけることが重要となります。例えば、今迄経験してきた事を対外的に発揮してもらい、そこで培った知識やノウハウを逆に社内に浸透してもらい、会社全体の技術レベルを向上するために、協力してほしいというようなことを膝突き合わせて説明するのです。
とはいっても、本人の性別や性格、資質などで対応は異なります。そこで、我々はワークショツプ形式で「なぜ営業力の強化が必要か」ということをテーマに掲げ、関係者全員の総意の上で解決策を探ります。このように一方的な押し付けでないプロセスを踏むことがモチベーションアップには重要となります。
3. キャリアパスの明確化
従業員、特に中高年の社員が長く会社に勤めてもらうためには何が必要かを整理するのです。例えば、比較的簡単な作業は若手に任せ、中高年は営業技術としてより高度な仕事に取り組むような職務分担を行うことで、長く勤められまた社内での位置付けも上がっていくようなことを理解してもらうのです。少子高齢化でのものづくりには、このような考え方が重要となります。
つまり単なる一方向の職務展開ではなく、双方向の職務転換であり、将来社内でより高度な仕事につく機会も出てくる。従って、今迄の仕事に加えて新しいノウハウを身につけてもらいたいということを中長期スパンで説明するのです。
4. 対象者へのサポート
中高年になると、多くのノウハウを持っていても自分の得意領域から中々一歩が踏み出せないものです。自分の殻をやぶり、応用力を発揮してもらうためにはトレーナー制度などの仕組みも必要となります。また、不安な面や実際にあった事例などを元に関係者全員で振り返り会を行い、次回に向けた対応策を関係者全員で考えるようなことも有効です。つまり組...