クレーム対応心得 2 クレーム対応とは(その9)
2019-03-05
前回のその8に続いて解説します。
顧客の言い分をじっくり聞いて、冷静に対応することです。この基本対応と共に大切な心得は、電話を受けたスタッフが、顧客のトラブルを誠意をもって解決するという意思を伝えることです。なぜなら、電話の相手は自分のクレームや抗議、不満等が本当に受け入れてもらえるかどうかが不安だからです。電話の相手は不安いっぱいの心理状態だと認識しましょう。
話は聞いてもらえても、肝心なクレーム内容を理解して、速やかに解決してくれるのだろうか。丁寧な応対だけで誤魔化されてしまうのではないか。
そうした顧客の不安や不信を一掃し、「私か責任を持ってあなたの問題を解決させていただきます。あなたの担当者は私です」というメッセージを伝えることも、緊急時のファーストエイトとして、実に大切な行動指針となります。自分のクレームを誠実に受け止めてくれると感じ取った顧客は、その時点できっとあなたとあなたの会社の「ファン」になっているはずです。
いきなり「責任者を出せ!」と言われても、決して電話を代わらない。「ただいま出かけております」と伝えて、相手の反応を把握しましょう。
クレームを抱えて電話をかけてくる顧客は、ついつい感情的になっていることも少なくありません。
電話口で激昂し、「責任者を出せ」とか「上司を出せ」と怒鳴る場合もあるでしょうが、そうしたときにはとくに冷静な対応が求められます。基本的な対応策は、相手の言いなりになって責任者や上司を電話に出させないことが大切です。
なぜならその時点では、顧客がいったいどういう人物なのかという情報を、まったく把握できていないからです。本当に何かのトラブルで困っている顧客なのか、それとも何かほかの企みを持って電話をしてきた要注意人物なのかが把握できない状況で、責任者を電話口に出すことは、「危機管理がお粗末」と言わざるを得ません。そうしたときは、「ただいま出かけておりますので、後ほどこちらからご連絡させていただきます」と伝えて、相手の住所や電話番号を確認すべきです。
ただし、このとき注意しなければならないことがあります。
責任者や上司を電話に出さない口実として「ただいま、会議中です」と言ってはいけません。もし、あなたが「会議中で……」と伝えたら、頭にきている顧客が...
「会議中とはなんだ。おたくの会社は客が困っていることよりも、会議のほうが大切なのか」と反論される根拠を与えてしまうことになりかねないし、逃げていると思われる危険もあるのです。
あなたが責任者の不在を告げたとき、相手が所在や電話番号を明かすことをためらったら、「なぜ、ためらうのか?」を疑ってみましょう。そうしたちょっとした顧客の姿勢から、クレームの真意が見えてくることもあるのです。
次回に続きます。
【出典】武田哲男 著 クレーム対応、ここがポイント ダイヤモンド社発行
筆者のご承諾により、抜粋を連載