【開発生産性向上 連載目次】
「開発生産性(その1、その2)」では、企業は、より高い生産性を実現しながら、ビジネスの質の変化に対応するための変革を求められていることを解説しました。今回は、これらの要請に応えるために、開発の視点から取り組むべき内容について解説します。
5.開発生産性向上施策
生産性の定義は様々なものがありますが、次のような式とすると、付加価値創出と、それを効率よく開発するための活動を両輪として進めるべきであることが分かります。(企業としてのリソースは限られますので、実際は「開発効率を向上してリソースを捻出して、付加価値創造にリソースを割り当てる」という形がとられると思います。)
【「開発生産性」の定義を開発生産性=output(創出した付加価値) / input(労働投入量)】
この取り組みを「開発速度を上げる」「無駄を無くす」といった下位の目的に分解し、さらに通常改善として取り組まれている諸々の活動をマッピングしたのが、図4になります。これにより、次の3点のような開発生産性向上活動の特質と、各活動の関係がご理解頂けると思います。
- 開発効率向上と付加価値創出の関係
- 単独の活動で生産性を上げるのではなく、様々な活動を連携していくことの必要性
- 各活動の担うべきミッション
図4. 開発生産性向上活動のマッピング
実際の改善活動は通常業務外の改善活動として行い、組織として管理しやすい次のような活動体とするものと思いますが、各活動と全体の中の位置付けの関係を、この枠組みで確認してください。
- 付加価値創出(デザイン思考の活用、リスキリング(再教育)、知識創造など)
- 開発組織改造(開発マネジメント、開発体制、プロセスなどの改善)...
人材育成(スキル向上、知識伝承など)
水平分業(アウトソース活用など)
ツールの導入(シミュレーション活用、バーチャルなものづくり、自動設計、AIによる設計支援、アディティブマニュファクチャリング、PLMなどの設計情報経路の整備など)
次回に続きます。