見込み生産と受注生産、特徴と課題

投稿日

 
  生産マネジメント
 

1. 見込み生産の特徴と課題


 見込み量産タイプの製品では、市場の需要量予測に従って生産するもので、以下の様な特徴・課題があります。
 
  • 需要予測の精度によっては在庫が増える
  • 季節変動等を別にすると需要変動を予測しきるのは難しい
  • みかけの製造原価を下げるため短期間に一気に大量に製造する傾向有
  • 原価計算は制度会計ベースが多い
  • 配賦の影響で製品別の利益判断が見えにくくなることが多い
  • 標準化は製品によりけり
 
 見込み量産タイプの製品を製造する企業の対応としては、直接原価(ダイレクトコスティング)による管理会計の考え方による経営判断を行う、在庫を減らすためジャストイン生産を 志向するなどの取り組みも行われています。
 
 需要の予測については、なかなか予見しきることは難しいため、生産調整のサイクルを細かくする、一個流しを目指すなどの施策も考えられますが、 企業の買い手や売り手との力関係にも依存するので企業ごとの対策が求められることになります。近年の傾向としては、売れるタイミングでいかに売れる量を売るかが命題 となっており、量産といっても受注に基づく繰り返し的生産、製造の色彩が強くなっています。
 

2. 受注型生産の特徴と課題

 受注型の生産では設計仕様が決まり、必要な資材や外注作業を発注しものを製造してゆきます。組立て型の場合でもプロセス型のものでも 大筋は同じですがここでは組立て型の製品を想定します。受注生産は概して次のような特徴があります。
 
  • B to Bのケースがほとんどで、顧客仕様も毎回異なる
  • 開発中に仕様変更が頻繁に発生する
  • 故に標準化が難しい
  • 納期が長くなる
  • 設計、製造要員の費用が期間中発生しがち
  • 検収完了まで入金がなく資金的には苦しい
 
 という特徴があります。また市場への対応という面で見ますと、製品にもよりますが一定のボリュームつまり受注高、売上高を狙おうとする場合、個別受注品であるがゆえに市場拡大が難しい、商流が固定されがちなため...
 
  生産マネジメント
 

1. 見込み生産の特徴と課題


 見込み量産タイプの製品では、市場の需要量予測に従って生産するもので、以下の様な特徴・課題があります。
 
  • 需要予測の精度によっては在庫が増える
  • 季節変動等を別にすると需要変動を予測しきるのは難しい
  • みかけの製造原価を下げるため短期間に一気に大量に製造する傾向有
  • 原価計算は制度会計ベースが多い
  • 配賦の影響で製品別の利益判断が見えにくくなることが多い
  • 標準化は製品によりけり
 
 見込み量産タイプの製品を製造する企業の対応としては、直接原価(ダイレクトコスティング)による管理会計の考え方による経営判断を行う、在庫を減らすためジャストイン生産を 志向するなどの取り組みも行われています。
 
 需要の予測については、なかなか予見しきることは難しいため、生産調整のサイクルを細かくする、一個流しを目指すなどの施策も考えられますが、 企業の買い手や売り手との力関係にも依存するので企業ごとの対策が求められることになります。近年の傾向としては、売れるタイミングでいかに売れる量を売るかが命題 となっており、量産といっても受注に基づく繰り返し的生産、製造の色彩が強くなっています。
 

2. 受注型生産の特徴と課題

 受注型の生産では設計仕様が決まり、必要な資材や外注作業を発注しものを製造してゆきます。組立て型の場合でもプロセス型のものでも 大筋は同じですがここでは組立て型の製品を想定します。受注生産は概して次のような特徴があります。
 
  • B to Bのケースがほとんどで、顧客仕様も毎回異なる
  • 開発中に仕様変更が頻繁に発生する
  • 故に標準化が難しい
  • 納期が長くなる
  • 設計、製造要員の費用が期間中発生しがち
  • 検収完了まで入金がなく資金的には苦しい
 
 という特徴があります。また市場への対応という面で見ますと、製品にもよりますが一定のボリュームつまり受注高、売上高を狙おうとする場合、個別受注品であるがゆえに市場拡大が難しい、商流が固定されがちなため買い手の圧力が強ければ、価格交渉も容易でないかもしれません。
 
 こうしたリスク要因に対応すべく個別受注生産の会社の戦略としては、毎回ゼロベースに設計するのではなく半標準、最近ではマスカスタマイズド設計、モジュラー開発等の 作り方をしようとしています。従来は過去の図面をひっぱり出してそれに変更部分を追加、削除して次の顧客の案件に対処するということをしてきましたが、もうこれではコスト的にも 納期的にも対応できないという事情があるからです。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

石田 茂

ものづくりの基本は人づくりをモットーに、技術者の持つ力を会社の組織力につなげるための仕組みづくりの伴奏支援を行います。

ものづくりの基本は人づくりをモットーに、技術者の持つ力を会社の組織力につなげるための仕組みづくりの伴奏支援を行います。


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
不良の原因は自工程だけではない 品質を考える(その3)

  【目次】 ◆ 不良の原因は自工程だけではない 1. 品質を考える:客先クレームを分析してみると 客先からのクレー...

  【目次】 ◆ 不良の原因は自工程だけではない 1. 品質を考える:客先クレームを分析してみると 客先からのクレー...


中国企業改善指導のポイント 中国工場の品質改善(その82)

 前回のその81に続いて解説します。 【第5章】中国企業改善指導のポイント 6、2つの視点で考える~長期視点~  2つの視点で考える~短期視点~...

 前回のその81に続いて解説します。 【第5章】中国企業改善指導のポイント 6、2つの視点で考える~長期視点~  2つの視点で考える~短期視点~...


小集団活動の事例を紹介、QCサークルとの違いから進め方まで

【目次】 品質管理活動、改善活動、ISO活動などにおいては、再発防止活動の位置づけが重要です。不良削減では、再発防止が最も重要な活動...

【目次】 品質管理活動、改善活動、ISO活動などにおいては、再発防止活動の位置づけが重要です。不良削減では、再発防止が最も重要な活動...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
現場の改善活動とは?チームで楽しい改善が実施できるような職場風土を作るには

     【目次】   現場改善活動はマネジメントの課題が大きく、改善活動をノルマや義務、押...

     【目次】   現場改善活動はマネジメントの課題が大きく、改善活動をノルマや義務、押...


検証記録が残せていない事例

  ◆ 位置決め方法を再改善するもまだ足りないものが  この中国企業ではプレスで鉄製支柱の穴あけ加工をやっていた。重要寸法である穴位置は...

  ◆ 位置決め方法を再改善するもまだ足りないものが  この中国企業ではプレスで鉄製支柱の穴あけ加工をやっていた。重要寸法である穴位置は...


完全3次元設計 伸びる金型メーカーの秘訣 (その11)

   今回、紹介する金型メーカーは、株式会社Hの工場、金型課です。同課のスタッフは12名。扱う主要製品は、自動車部品が中心であり、製作している...

   今回、紹介する金型メーカーは、株式会社Hの工場、金型課です。同課のスタッフは12名。扱う主要製品は、自動車部品が中心であり、製作している...