【第2章 中国工場の実状を知る】
【部品・材料】
前回のその22に続いて解説します。
3Mの三つ目は、部品・材料です。中国工場の部品・材料に関する問題点のポイントは、中国メーカーの部材の品質改善を進めることが出来るか、いかに使いこなすかになります。
1. 部材調達の変遷
日本企業が中国に進出した当初は、日本工場で使っていた部材を日本から送り込んでいました。しかし、輸送コストやそれにかかる時間を考えると思った程のメリットが出ない状況でした。そこに顧客からのコストダウン要求が加わり、部材を現地(中国)で調達する、流れとなりました。現地調達も最初は、同じ日系の中国工場からでしたが、顧客の厳しいコストダウン圧力により、日系以外の工場からの調達、そして最終的に中国メーカーから調達をするに至っています。現地調達は、品質レベルは落ちます。中国メーカーの部材を使いこなすことにみなさん苦労している訳です。
【部材調達の年代別イメージ】
- 1980年代後半~1990年代前半:日本から多くの部材を送り込んでいた
- 1990年代後半~2000年代前半:現地日系企業からの調達を進め、その比率を増やしていった
- 2000年代前半~:中国企業からの調達を増やし始めていった
2. 中国メーカー部材の問題点と使う側の問題点
(1)中国メーカー部材の問題点
これは言うまでもなく日本製の部材に比べると品質が悪いという問題です。
(2)使う側の問題点
使う側の問題点としては、次の三つがあります。
・生産技術力不足
部材に不具合があっても自社生産工程でそれを消化できないとか取り除けないなど生産技術力の問題
・品質管理力不足
部材の不具合に起因して生産してしまった不良品を工程検査や出荷検査ではじけずに流出させてしまうなど、自社の品質管理力の問題
・部材評価の甘さ
1回評価しただけで採用を決めてしまうなど、その見極めが甘い問題評価したサンプルが実はチャンピオンサンプルだったので、量産ではサンプルよりもレベルの低いものが納入されて問題となる メーカーが提出してくるサ...
【問題点】
部品・材料は、中国メーカー部材の品質が悪く、使う側にも問題点があります。このようなことで中国メーカー部材の不具合によって自社製品の不具合となってしまうことが、中国工場の品質低下となっている訳です。
次回は、 中国メーカー部材への対応策について解説します。
【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行 筆者のご承諾により、抜粋を連載