今回も、ここまでと同様、「思い付く」ための「知識・経験を整理するフレームワーク」の中の、知識・経験を時系列で整理する「期」ついて議論をします。
1. 森羅万象は変化する
以前に仏教用語の諸行無常という言葉に触れましたが、「森羅万象はすべて姿も本質も常に流動変化するもの(ウィキペディア)」ということを意味します。すなわち全てのモノ、コトは時間が経つと必ず変化するということです。物理的に形あるものは、いつか壊れます。物理的な形が無いもののも、たとえば思考、気持ち、人間関係、政治、環境など、私達はこれまでの経験から、いずれもいつかの時点で大きな変化をとげることを知っています。
2. すべては安定・激変・安定を繰り返す
そこで起こる変化は、リニアに変化するのではなく、ある平衡状態が続き、その間に「徐々に」何かが少しづつ変化やその結果が蓄積し、その蓄積がある閾値を越えるとある時突然大きな変化(激変)が起こり、またまったく新しい平衡状態が生まれるというような原則があるように思えます。
安定期にも、小さな変化は常に起こっているが、安定期は小さな変化に対してある程度までは許容する能力を持ち(それ故安定期)、しかしそれがある一定の許容レベルを超えると激変が起きると考えることができます。もちろん、小さな内部的な変化の蓄積が引き金になっての激変以外に、外的な激変がきっかけとなり、激変が起こるという場合もあります。
たとえば、恐竜は地球への隕石の衝突という外部に起因する原因により、突然の環境の激変が起こり、それにより死に絶えたと言われています。
以上より激変の原因は二種類あると考えるのが良いようです。1つが外部に起因する激変。もう1つは、安定期の内部の小さな変化の蓄積です。
3. 「小さな変化の蓄積」に目を向けて激変を予測する
よくマクロ環境分析では、PEST分析が行われます。
PEST分析とは今後長期に起こるPolitical(政治)、Economical(経済)、Societal(社会)、Technological(技術)の分野で起こる大きな変化を予測し、その自社への影響を考えるものです。このPEST分析はもっぱら外部に起因する要因に目を向けたもので、内部の小さな変化の蓄積を対象とはしていません。
内...
部の変化は、一般の大きな流れ(マクロ環境)とは独立して起こる可能性が高いので、マクロ環境だけ見ていては、内部の変化の蓄積に起因する激変を予測することはできません。激変やその後に生まれる平衡状態を予測するには、内部で起こる安定期の小さな変化、特に繰り返し起こるようなことに目を向ける必要があります。
茹でガエルの比喩にあるように、通常は変化が小さくて、また当り前のことであり見逃してしまうような変化は、実はそれが蓄積すると激変(茹でガエルの場合には「死」)に至るということです。
次回に続きます