製品開発とコストダウン(その3)

更新日

投稿日

◆コストダウンのための仕組み作り

 
 コストダウンを容易に検討できる仕組みについて解説します。製品開発のステップをもう一度思い出して下さい。製品全体の構想を行い、基本的に必要になる機能と構造を決めます。そして、構造を部品へと分解し、図面や仕様書を作成するわけです。
 
 製品の全体を構想した後の機能や構造を検討する場合、一般的に過去に作った実績のある製品の構造を真似て設定します。このため、以前の実績から、おおよその原価をつかまえることができます。ただ、近年設定されている目標原価では、従来の実績原価を大きく下回るものが見受けられます。それは、これまでその会社では作ったことのない、新しい構造を検討することを求められることでもあります。
 
 このため設計者は、様々な機能を満たすための方式や構造に関する情報を持っていなければなりません。しかし、一人の設計者が保有できる情報には限りがあります。また、設計者の担当する製品や興味などによって、偏りもあります。設計部門では、これらの方式や構造の情報をアイデアとして集約し、整備・管理しておくことです。つまり、アイデア情報の蓄積です。
 
 アイデア情報は、構造ごとにアイデアを整理し、貯めておく倉庫のことです。そして、このときに大切なことは、集めたアイデアのひな形をベースに、「いくらで作れる。」という標準原価を設定しておくことです。
 
 この情報によって、新しい製品を開発するにあたって、製品全体の構想から、必要な機能とそれを満たす方式や構造を選択し、その構造を選択した場合、原価は、おおよそ幾らであることが分かるようになります。
 
  コストダウン
 
 目標原価を達成するために、その構造をさらに洗練化し、図面や仕様書にまとめるのです。このように機能や方式、構造に対するアイデアをたくさん整理しておくことです。そして、...

◆コストダウンのための仕組み作り

 
 コストダウンを容易に検討できる仕組みについて解説します。製品開発のステップをもう一度思い出して下さい。製品全体の構想を行い、基本的に必要になる機能と構造を決めます。そして、構造を部品へと分解し、図面や仕様書を作成するわけです。
 
 製品の全体を構想した後の機能や構造を検討する場合、一般的に過去に作った実績のある製品の構造を真似て設定します。このため、以前の実績から、おおよその原価をつかまえることができます。ただ、近年設定されている目標原価では、従来の実績原価を大きく下回るものが見受けられます。それは、これまでその会社では作ったことのない、新しい構造を検討することを求められることでもあります。
 
 このため設計者は、様々な機能を満たすための方式や構造に関する情報を持っていなければなりません。しかし、一人の設計者が保有できる情報には限りがあります。また、設計者の担当する製品や興味などによって、偏りもあります。設計部門では、これらの方式や構造の情報をアイデアとして集約し、整備・管理しておくことです。つまり、アイデア情報の蓄積です。
 
 アイデア情報は、構造ごとにアイデアを整理し、貯めておく倉庫のことです。そして、このときに大切なことは、集めたアイデアのひな形をベースに、「いくらで作れる。」という標準原価を設定しておくことです。
 
 この情報によって、新しい製品を開発するにあたって、製品全体の構想から、必要な機能とそれを満たす方式や構造を選択し、その構造を選択した場合、原価は、おおよそ幾らであることが分かるようになります。
 
  コストダウン
 
 目標原価を達成するために、その構造をさらに洗練化し、図面や仕様書にまとめるのです。このように機能や方式、構造に対するアイデアをたくさん整理しておくことです。そして、そのアイデアのレベルとアイデアの質に対して、「本来いくらで作れるか。」という標準原価を結び付けておけば、それで目標原価を達成する可能性は高まってきます。数多くのアイデアを持ち、それらのアイデアの中から必要なときに、要求される機能を満たす構造でもっとも経済的な原価のものを選択できるようにしておくことです。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

間舘 正義

製品を切り口に最適コスト追求のためのコスト・ソリューションを提供します。

製品を切り口に最適コスト追求のためのコスト・ソリューションを提供します。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
知識・経験を関係性で整理する 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その71)

 今回からKETICモデルの「思考」の中の、「知識・経験を関係性で整理する」について解説をします。前回までに解説した時系列や物理量などで整理した要素を...

 今回からKETICモデルの「思考」の中の、「知識・経験を関係性で整理する」について解説をします。前回までに解説した時系列や物理量などで整理した要素を...


触覚 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その151)

  現在、イノベーション実現に向けての「思考の頻度を高める方法」を解説していますが、そのための2つ目の要素「同じ一つの行動をするにしても思...

  現在、イノベーション実現に向けての「思考の頻度を高める方法」を解説していますが、そのための2つ目の要素「同じ一つの行動をするにしても思...


普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その21)

 知識は、形式知と暗黙知に分けることが知られています。今回は形式知の問題点を指摘し、その問題点にいかに対処するかを解説します。 ◆関連解説『技術マネジメ...

 知識は、形式知と暗黙知に分けることが知られています。今回は形式知の問題点を指摘し、その問題点にいかに対処するかを解説します。 ◆関連解説『技術マネジメ...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
‐市場の観察から開発テ-マを得る‐  製品・技術開発力強化策の事例(その6)

 前回の事例その5に続いて解説します。新技術が社会に普及し始めると、それに関連した新商品を顧客の要求に即応して供給出来ないで、新技術搭載製品の供給不足が起...

 前回の事例その5に続いて解説します。新技術が社会に普及し始めると、それに関連した新商品を顧客の要求に即応して供給出来ないで、新技術搭載製品の供給不足が起...


成功体験が重荷となる製品開発プロセス(その2)

◆ 解決策    成功体験が重荷となる製品開発プロセス(その1:現状の課題)では、スマートフォンで起きていることを例にして、従来の組み込みソ...

◆ 解決策    成功体験が重荷となる製品開発プロセス(その1:現状の課題)では、スマートフォンで起きていることを例にして、従来の組み込みソ...


先行技術テーマを企画段階で評価するには

1.先行技術開発    イノベーション、すなわち価値創造がものづくり企業におけるR&Dのミッションとして期待される中で、それを実現す...

1.先行技術開発    イノベーション、すなわち価値創造がものづくり企業におけるR&Dのミッションとして期待される中で、それを実現す...