【第2章 中国工場の実状を知る】
【日本工場と中国工場の違い】
前回のその27に続いて解説します。
(3) 中国の法体系
中国の法令には、憲法、法律、行政法規、地方性法規、地方性規則などがあります。各法令の効力は、憲法、法律、行政法規の順に優先されます。日本の地方自治体が憲法や法律の範囲内で条例を制定するのと同じように中国でも地方性法規・地方性規則は、憲法・法律・行政法規の範囲内で制定されます。法令と制定する機関及び適用範囲の区分は、次のようになっています。
【法令】 【制定機関】
憲法 ---
法律 全国人民代表大会及びその常務委員会
行政法規 国務院
地方性法規 省・自治区・直轄市及び1部の市級人民代表大会及びその常務委員会
地方性規則 省級、1部の市級人民政府
2. 中国・中国人を理解する
(1)地域による違い
中国は広大なので、地方や地域によって人の気質や考え方にも違いがあります。そんな違いを知っておいても損はありません。ここでは、代表的な4つの地域について、それぞれの特徴をまとめました。
【北京人】:お金儲けよりも自身の面子を立てることの方が重要
【上海人】:ビジネスに感情は挟まない、合理的に冷静に進める
【広東人】:商売好き、ハイリターンを求めてハイリスクな仕事に挑戦する
【東北人】:日本人に近い感覚
① 北京
政治のお膝元ということもあり、一般市民も政治に関心を持っているので、官僚的なところがあるようです。大雑把な性格で細かいところに神経を使いません。相手の弱点や不謹慎さなどは大目に見ると言われています。プライドが高いので、お金儲けよりも自身の面子を立てることの方が重要と考えています。
② 上海人
上海人は、合理的で現実的、そして商売人が多い。ビジネスに感情を挟むことはな<、特に商売に関しては合理的に冷静に進めると言われています。また、上海人はケチとも言われており、ムダなものには例え一元でも使いませんが、合理的だと判断すれば惜しまずにお金を使うところがあります。
③ 広東人
世界にいる華僑のワO%が広東人と言われています。商売好きで、ハイリターンを求めてハイリスクな仕事にも果敢にチャレンジします。広東人の特徴として他の地域と大きく違うのは、ビジネスをうまく進めるためには、自分だけでなく相手にも一定の利益を取らせること...
④ 東北人
代表的な都市としては、大連があります。寒冷地域ということもあリ忍耐強い性格で、地理的に日本に近いこともあり、全般的に日本人に近い感覚の人柄とも言われています。また、日本語教育レベルが高<、日本語通訳が多いのも特徴です。
次回は、2. 中国・中国人を理解するの(2)謝罪のない文化から、続けます。
【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行 筆者のご承諾により、抜粋を連載