データ分析結果にリアリティを データ分析講座(その80)

◆ 人の顔の見えない分析にリアリティは望めない

 データ分析結果が活用されないのは、何がいけないのでしょうか。分析のレベルが低いのでしょうか。データがおかしいのでしょうか。活用する側にやる気がないのでしょうか。

 分析結果が活用されない要因には色々ありますが、一つには分析結果にリアリティがないというものです。では、どうすれば良いのでしょうか。少なくとも、現場無視でパソコン上だけでデータ分析をすることは良くありません。今回は「データ活用の現場を知り、人の顔の見えるリアリティがある分析を」というお話しをします。

1. 人が関わるデータ活用では、少なくともデータ活用の現場を知ったほうがよい

 人が関わるデータ活用には、マーケティング系や営業系など色々あります。コンピュータや機械などの中だけで完結することは少ないわけです。自動制御やAI(人工知能)でも、最初は人の手でデータ分析を実施することは少なくありません。はっきり言ってしまうと、どう活用しているのか知らないことには良い分析はできません。現場から乖離(かいり)したデータ分析を行ってしまうことになります。

 では、良い分析とはどのような分析でしょうか。

 良い分析とは、スゴイ分析ではありません。使ってもらいビジネス成果を出してもらう分析です。成果を出してもらう事を考えると、非常にハードルが高いように感じるかもしれませんが、実はそうでもありません。実際のデータ分析を活用している現場を見に行けば良いのです。それだけで、データ分析の質はだいぶ良くなります。

 要するに、デスクワーク中心のデータ分析ではなく、ときには現場に泥臭く通う必要も出てきます。そもそも、データは実際に起きたことの一部分を反映したものです。それだけにデータ分析には自ずと限界があります。

2. そもそもデータ活用されていない場合はどうするのか

 「データ分析が活用されている現場を見に行け」といわれても「行く先がない」という場合も当然あります。例えば、実際のデータ分析を活用している現場が「存在しない」場合などがそうです。他にも、組織としてはデータ分析を活用し成果を出している部署があっても、一方、データ活用している部署で「データ分析活用の現場がない」ケースもあります。

 このようなケースは、非常に悩ましいことでしょう。その場合は「データ分析のかしどころ」を見つけるところから始めましょう。

3. データ分析の生かしどころを見つけるところから始める

 見に行くべき活用現場がない場合は「データ分析の生かしどころ」を見つけるところから始めると良いのです。すでにデータ分析の活用がそれなりにできていても「データ分析の生かしどころ」を見つけるという行動は、素晴らしい成果を生み出します。「データ分析の生かしどころ」とは、文字通り「データ分析を生かしビジネス成果をあげる何かしらの業務や作業など」です。では、一体どのようにして見つけるのか。そこが難しいという人もいることでしょう。この「データ分析の生かしどころ」は、データ分析が目的化すると、なかなか見つかりません。

4. データ分析はあくまでも手段

 そもそも「データ分析はあくまでも手段」です。しかし、最近の風潮は「データを使って何かしよう」という感じなっているような気がします。つまり、データを使って何かをしよう、ではないということです。データを使わなくても良いところで、無理矢理データを使ったところで手間も掛かる上、ビジネス成果もそれほど望めません。では、どうすれば良いのか。

 まず初めに課題を見つけることです。対象となる部署などの課題を見つけたのち、データを上手く使うことで、その課題解決が促進する「課題」を見つけるのです。そこが「データ分析の生かしどころ」になるのです。

 データを使う・使わないに関係なく「ビジネス上の課題を洗い出す」と考えると、いくらでも課題は出てきます。「データを上手く使って」という縛りがあると、思考の枠が絞られ、自社の経験ベースや他社の事例ベースの課題しか出てきません。

 例えば、いくら他社の成功事例を仕入れても、自社の課題がデータを上手く使って解決することは、あまりないでしょう。そもそも、各社で事情が異なりますし、重要なことや泥臭いことは表には出てきません。そこである姿勢が、データ分析する側に問われます。

5. データ分析する側に問われる姿勢

 データを使う・使わないに関係なく、ビジネス上の課題を洗い出し、その中からデータで上手く解決が促進しそうな課題を探すと、当然ながら以下の2つの課題に大別されます。

 このとき、データを上手く使わなくても解決する課題は解決するために行動すれば良く、データを上手く使うと解決する課題は、十二分にデータ分析を行い課題解決すれば良い、ということになることでしょう。そこである姿勢が、データ分析する側に問われます。データを上手く使わなくても解決できそうな場合、データ分析側がどう動けばよいのか、という問題です。自分の業務の範囲ではないと切り捨てるのか、データ分析とは関係はないが、自身の仕事として業務にあたるのか、人によって考え方は様々でしょう。

6. 課題は互いに繋がっている

 他の課題から「完全に独立し存在する課題」は少なく、多くの場合ビジネス上の課題は、互いに何かしら繋がっていることが多いと思います。私の考えですが、データを「使う or 使わない」で、データ分析する側がその課題に対する「対応を変える必要はない」と思います。データ分析はあくまでも手段です。目的はビジネス成果を出すことです。

 おそらく、データを使うか否かに関係なく、課題解決に知恵を貸せば多くの場合、喜ばれるのではないでしょうか。嫌がられない限り、積極的に動いても良いのではないかと、私は考えています。そうすることで、データ活用の現場を十二分に知ることができ、血の通った人の顔の見えるデータ分析を実施することができるのではないでしょうか。意外なところで、データを上手く使うと良い場面に出くわすかもしれません。

 

7. 課題は、十二分にデータ分析をして解決すればよい

 今回は「データ活用の現場を知り、人の顔の見えるリアリティがある分析を」というお話しをしました。

 良い分析とは、どのような分析でしょうか。それは、スゴイ分析ではありません。使って成果を出してもらえるような分析です。そう考えると、非常にハードルが高いように感じるかもしれませんが、実はそうでもありません。実際のデータ分析を活用している現場を見に行けばよいのです。それだけで、データ分析の質はだいぶ良くなります。

 では、そもそもデータ活用されていない場合はどうするのでしょうか。実際のデータ分析を...

活用している現場が「ない」もしくは「データ分析しようと考えている部署では『データ分析活用の現場がない』」ケースです。非常に頭を悩ますケースです。

 そのような場合は「データ分析の生かしどころ」を見つけるところから始めると良いでしょう。すでにデータ分析の活用がそれなりにできていても生かす場所を見つけるという行動は、素晴らしい成果を生み出します。

 しかし「データ分析の生かしどころ」は「データ分析を目的化」するとなかなか見つかりません。そもそも「データ分析はあくまでも手段」です。データを使って何かをしよう、ではないということです。

 最初に考えるべきはデータに関係なく、その部署などの「課題を見つけること」です。課題を見つけたのち、データを上手く使うことで解決に進めそうな課題を見つけるのです。そこが「データ分析の生かしどころ」になるのです。したがって、データを上手く使わなくても解決する課題は解決するために動けばよく、データを上手く使うと解決する課題は、十二分にデータ分析をして課題解決すれば良い、ということになります。

 そこである姿勢が、データ分析する側に問われます。データを上手く使わなくても解決できそうな場合、データ分析側がどうするのか、という問題です。ビジネス上の課題は、あ互いに何かしら繋がっているのが常です。他の課題から、完全に独立し存在する課題は少ないことでしょう。要するに、データを「使う or 使わない」で、データ分析する側で態度やその対応を変える必要はないということです。データ活用の現場を十二分に知ることができ、血の通った人の顔の見えるデータ分析を実施することができるのではないでしょうかと思います。

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