働き方改革・生産性向上が叫ばれながら、一向にその打開策は見出されず中小企業の管理職からは「結局、俺たちがさらなる疲弊した日常を強いられる」とのボヤキ節が呟かれています。
手を打つべき策の一つに、発注~受入れ~請求書チェック・支払・支払い管理、受注~出荷~請求書発行・入金の管理業務の見直しがあります。
次の事例は、発注手続きをヒヤリングした時のものです。
- ①「総務では依頼部門からの申請書に基づき、システムに発注入力をします」
- ②「次に発注書を出力して、発注先にFAXをします」
- ③「発注先は、登録してあるものの何度も確認をして発信ボタンを押します。幸い、これまで間違えたことは無いのですが、とても気を遣います」
- ④「FAXした後も応答がない間は、気に掛けています。しばらく応答がないと、見たかなあ?と心配になります」
- ⑤「結局、電話をして確認をすることもあります。相手先の担当者によっては、話がし難い方もいるためとても憂鬱です」
- ⑥「こちら側では、確実にFAXしたとの記録を発注書に日時をメモ書きして、応答待ち状態のインデックス区分にファイリングをして管理しています」
結果、FAX処理に関連して発生する作業・管理の手間、そして気苦労の多いこと…。冷静に振り返ると、摩訶不思議です。「発注入力をしたデータが、そのまま発注先にデータ転送されたらどうでしょうか」。私からの提案に総務の担当者は「とってもいいですね」と弾んだ声で回答してくれました。
このことがきっかけで中小企業にとっても、手軽に実現できる環境が整ってきました。何故なら中小企業共通EDI標準が策定され、実証プロジェクト段階を経て普及推進の段階に入ったからです。
国も中小企業取引の共通EDIを次のように推奨しています。
- ものづくり補助金公募要領 → 中小企業共通EDIを推奨
- 「下請け中小企業振興法、振興基準」の改正案(令和威元年12月24日)→ 下請け事業者は、中小企業共通EDIに、積極的に対応していくものとする親事業者は、共通化された電子受発注又は電子的な決済等に係るシステムへの接続に努めるものとする。下請事業者に、電子受発注及び電子的な決済等の導入を積極的に働きかける。
所詮、EDIは大企業に使わされるものとウンザリしていた中規模企業も自社の発注に使えるのであれあば、積極的になれるはずです。EDIなんて、全く無関心であった小規模企業に...
発注のデジタル化を皮切りに、受入れ・支払い処理のデジタル化へとつながっていきます。さらには在庫管理等への既存の社内システムへと反映できます。受注側も、入力作業なく、生産計画等の既存の社内システムへの反映へとつながります。
日本の多くの中小企業へと広まれば、日本全体の生産性向上に寄与していくものと期待できます。中小企業も、企業間取引(発注~支払、受注~入金)のデジタル化、情報マネジメントに注目してみてください。