BPR(業務改革)とは  

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1.ビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)とは

 
 1.1 BPR(業務改革)とは

 ビジネス・プロセス・リエンジニア(以下「BPR」という)とは既存の業務や組織、プロセスを抜本的に見直し、高い生産性を追求する業務改革の手法・概念です。従来の観点や考え方を抜本的に見直し(再設計)、高い生産性や業績を追求するもので、業務やプロセス・組織などを対象とし、QCD(品質・コスト・LTなど)を規定するものといえます。少子高齢社会が現実のものとなっている我が国では、限られた人材で高い生産性を出すことが求められるため、ますますその重要性が増しています。また現在では、高い生産性を維持していくためIoTやAIといったICT化を伴う改善活動ともいえます。

 1.2 従来の業務改善との違い

 そもそもBPRとは、1993年に刊行されたマイケル・ハマー&ジェイムズ・チャンピーによる「リエンジニアリング革命」の書籍で広く認知されるようになり、我が国ではバブル崩壊の景気後退と不況の長期化からリストラの手法として広く活用されるようになりました。BPR以前の業務改善は、主にボトムアップで部分最適的な改善活動を行っていたのですが、BPRはトップ主導で全体最適化を目指す活動といえます。そのため部分的な改善効果だけではなく、その組織間連動つまり全社的で飛躍的な成果が求められます。

2.BPRの進め方


 BPRは一般的に「改革ビジョンの明確化」、「プロセス再設計」「新プロセスの定着」というステップで進められます。特に、高い目標に向け全体最適化された「あるべき姿」を描き、自律的な改善組織を作り上げ活動できるかがポイントといえます(図表参照)。

図. BPRのステップと全体像

 2.1 改革ビジョンの明確化

 改革ビジョンの明確化では、まず会社や組織全体の実態をABC(アクティビティ・ベースド・コスティング)やベンチマークなどの手法を活用して実態を把握します。そのうえで抜本的な改革目標・目的を設定し、ターゲットとなる対象プロセスや業務を特定し、実現すべき「あるべき姿」を検討します。

 2.2 プロセス再設計

 プロセス再設計では、あるべき姿と現状とのギャップから改革すべき課題を明確にして、あるべき姿を実現するための業務や組織・プロセスを再設計します。多くの場合、近未来で実現可能な「目指す姿」を設け、ステップバイステップで業務改革を実施するケースが多いようです。あるべき姿に向けたマイルストーンを明確にして、一歩一歩近づけていくのです。つまり絵に描いた餅にならないように業務の標準化やルールを制定しつつ、業務を支援するICTの仕組みや基盤情報を整備していくのです。

 2.3 新プロセスの定着

 新プロセスの定着では、業務改革を実施することで成果を確実に実現し、その成果の定着を行うことになります。しかし大きな問題が発生するとすぐに元の業務に戻したがる傾向があるため、後戻りしない仕掛けや問題を乗り越えるためトップのリーダーシップが特に重要となります。そのため組織目標としてのKPI(重要業績評価指標)を定めモニタリングを行い、適時見直しを行う改善を継続していくことが求められます。

3.BPRの成功ポイント


 3.1 全社活動とする

 全体最適化を目指す改善・改革であるため、課題の発生原因を「他責」ではなく「自責」で考える意識改革が重要とな...

1.ビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)とは

 
 1.1 BPR(業務改革)とは

 ビジネス・プロセス・リエンジニア(以下「BPR」という)とは既存の業務や組織、プロセスを抜本的に見直し、高い生産性を追求する業務改革の手法・概念です。従来の観点や考え方を抜本的に見直し(再設計)、高い生産性や業績を追求するもので、業務やプロセス・組織などを対象とし、QCD(品質・コスト・LTなど)を規定するものといえます。少子高齢社会が現実のものとなっている我が国では、限られた人材で高い生産性を出すことが求められるため、ますますその重要性が増しています。また現在では、高い生産性を維持していくためIoTやAIといったICT化を伴う改善活動ともいえます。

 1.2 従来の業務改善との違い

 そもそもBPRとは、1993年に刊行されたマイケル・ハマー&ジェイムズ・チャンピーによる「リエンジニアリング革命」の書籍で広く認知されるようになり、我が国ではバブル崩壊の景気後退と不況の長期化からリストラの手法として広く活用されるようになりました。BPR以前の業務改善は、主にボトムアップで部分最適的な改善活動を行っていたのですが、BPRはトップ主導で全体最適化を目指す活動といえます。そのため部分的な改善効果だけではなく、その組織間連動つまり全社的で飛躍的な成果が求められます。

2.BPRの進め方


 BPRは一般的に「改革ビジョンの明確化」、「プロセス再設計」「新プロセスの定着」というステップで進められます。特に、高い目標に向け全体最適化された「あるべき姿」を描き、自律的な改善組織を作り上げ活動できるかがポイントといえます(図表参照)。

図. BPRのステップと全体像

 2.1 改革ビジョンの明確化

 改革ビジョンの明確化では、まず会社や組織全体の実態をABC(アクティビティ・ベースド・コスティング)やベンチマークなどの手法を活用して実態を把握します。そのうえで抜本的な改革目標・目的を設定し、ターゲットとなる対象プロセスや業務を特定し、実現すべき「あるべき姿」を検討します。

 2.2 プロセス再設計

 プロセス再設計では、あるべき姿と現状とのギャップから改革すべき課題を明確にして、あるべき姿を実現するための業務や組織・プロセスを再設計します。多くの場合、近未来で実現可能な「目指す姿」を設け、ステップバイステップで業務改革を実施するケースが多いようです。あるべき姿に向けたマイルストーンを明確にして、一歩一歩近づけていくのです。つまり絵に描いた餅にならないように業務の標準化やルールを制定しつつ、業務を支援するICTの仕組みや基盤情報を整備していくのです。

 2.3 新プロセスの定着

 新プロセスの定着では、業務改革を実施することで成果を確実に実現し、その成果の定着を行うことになります。しかし大きな問題が発生するとすぐに元の業務に戻したがる傾向があるため、後戻りしない仕掛けや問題を乗り越えるためトップのリーダーシップが特に重要となります。そのため組織目標としてのKPI(重要業績評価指標)を定めモニタリングを行い、適時見直しを行う改善を継続していくことが求められます。

3.BPRの成功ポイント


 3.1 全社活動とする

 全体最適化を目指す改善・改革であるため、課題の発生原因を「他責」ではなく「自責」で考える意識改革が重要となります。そのため自分より2ランク上の立場で、つまりより高い視点で物事を考えるような習慣づけや、AIやIoTを活用することにより意思決定のスピードアップを行い、全階層で自律的に考え行動する仕組みを構築することがBPR成功ポイントとなります。

 3.2 明確なルールを適用し継続する

 もう一つの成功ポイントとして、ECRS(排除、統合と分離、交換、簡素化)など改善の原則を活用し、BPRに関係する全員がベクトルを合わせるためのルールを設けることが必要となります。さらに「あらゆる所に原価を高める無駄がある」という観点で、たえず改革を継続していく(改革のDNAを継承していく)ことがBPRを成功するためには特に重要となります。       

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この記事の著者

野中 帝二

労働人口が減少する中、生産性を維持・向上しつつ、収益性を向上するための支援を行います。特に自律的な改善活動の醸成や少子高齢化での経営など労働環境変化に対応した解決策をサポート致します。

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