4、作業改善の基本
◆ 職人の基準
私は「職人」という言葉が好きです。職人さんは一つの困難なことにコツコツと研鑽を重ね、誰にも真似できない卓越した技術・技能を身に付けている人ですから、当然のことながらとても憧れています。
いわゆる「職人技(わざ)」で製品の技術的な優位性を引き出したり、あるいは誰をも唸(うな)らせたりする仕事ができる人であって、企業が大切にするべき本物の人材のことをいっています。このような人は企業にとってはまさに「人財!」といえるでしょう。このような高い技術・技能を持った人をたくさん育てていけば会社は更に発展すること間違いなしです。
しかし一方でこの職人という言葉には注意も必要です。それほど難しい仕事ではないにもかかわらず、その工場ではたまたまその人しかその仕事をできないので、その人のことを職人だと本人も周囲の人も勘違いしてしまっていることもあるのです
その人は自分の仕事をきちんと体系化していないので、自分の仕事を動作レベルでしか表現できません。そのため説明がとても分かりにくいのです。しかしその分かりにくいという欠点を「彼は職人だから...」などという言い方で周囲も許してしまっていたりします。その上、自分の仕事を抱え込んで外から見えなくすることで現在の地位を守ろうとしたりします。そういうことですから人を育てる努力もしてくれません、というか育てられないのです。
とんでもないことですが、このような「人罪」を職人だと勘違いしている工場は残念ながら少なくないのです。本物の「人財!」は人を育てられ、社内だけでなく社外からも評価される技術・技能を持っているのです。
アフターコロナにすることの一つとして、全員の仕事のレベルアップにチャレンジしません...
今回の言葉
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ニセ者の職人がのさばっていないか。
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「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」
日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫