【中国工場の品質改善 連載全84回から各章の冒頭ページ 】
前回のその74に続いて解説します。
【第5章】中国企業改善指導のポイント
第5章では、既存の取引先である中国企業の改善指導のポイントについて記します。
自社工場の改善と取引先の改善で大きく異なることがあります。それは何でしょうか。答えは行動の主体が違うことです。自社工場の場合、行動の主体は自分たちであり、自分たちが頑張ることで改善することができますが取引先の場合、行動の主体は相手になりますので、自分たちがいくら頑張っても相手が動いてくれないことには改善は進みません。先方が動いてくれて、対応してくれてなんぼの世界なのです。ですから、取引先の改善を促す時は相手にどうしたら動いてもらえるか、対応してもらえるかを考えることが大事になります。
1、取引先に動いてもらうには
(1) 日経企業と同じスタンスで臨まない
繰り返しますが、中国企業との取り引きでは日系企業を相手にするときと同じスタンスで臨んではいけません。日系企業なら難なく対応可能なことでも対応できないことが多々あります。日系企業と同じようなペースで改善が進むとは考えないことです。一度に大きな前進を望むのは無理でも、小さな前進なら出来るはずなので、それを繰り返していくことを考えます。小さな前進であっても長い目でみれば、大きな前進になるのですから。
(2) 諦めないこと
中国企業がこちらの要求に対して、何も対応してくれないことですっかり諦めてしまい、購入は続けるものの改善要求をしなくなる日系企業もあります。これは最悪のパターンといえ、中国企業は何も文句を言わない顧客は、今の品質で満足していると勝手に考えます。もっとも何の文句も言わずに買い続けていたとすれば、それは自社の製品に満足しているからと、日本企業でもそう考えるのではないでしょうか。
中国企業が何の対応もしないような場合でも「うちは今のおたくの品質には満足...
中国に慣れ始めた人の中には、中国企業とはそういうものだと変な悟りを得てしまう場合もありますので、決してそうならず諦めずに前に進めましょう。
次回は(3) キーマンを見つけるから解説を続けます。
【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行、筆者のご承諾により抜粋を連載