4、作業改善の基本
◆ 作業に隠れている問題
現場改善を「作業改善をすること」と捉えている会社は意外と多いものです。作業を改善することで能率が上がり、その結果、会社経営に貢献できるということです。もちろん間違っていません。作業改善をすれば作業が楽になり、品質が上がります。
しかしその作業が本当に会社に利益をもたらす仕事になっているかをよく考えてみることも大切です。よく考えるとその作業そのものが不要であったり、別の問題の結果として発生した作業であったりすることがあるからです。
例えば段取り替えがスムーズに行われていても、それが計画以外の突発の変更によるものであれば別の問題があります。あるいは仮組み立てや調整といえば聞こえはいいですが、一発で良品を作ることができないという技術の低さの表れであるということはないでしょうか。もちろん作業を改善することは良いことなのですが、そこにだけ目が行ってしまい、全体を見ることができなくなってしまうと困るのです。
例えばボールペンや電卓を使って転記作業をしている場合を考えてみましょう。その転記の方法をより良くするため、持ち替えが少なくなるようにペン立てを作ったり、使いやすい電卓を探してくるというのは作業改善です。
しかしやはりここでは、この古めかしい仕事のやり方そのものを変える必要があると思います。コンピュータの仕組みを調べて、転記なしに一発で仕事が終わるようにするのが正しい改善です。転記作業を改善するのではなく、転記作業をなくす改善です。
「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、「作業を見て仕事を見ず」にならないようにして頂きたいと思います。
今回の言葉
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作業改善ばかりを考えるな。その作業が、会社に利益をもたらす仕事になっているかを考えよ。
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「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」
日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫