中国工場の実状を知る、部品・材料について 中国工場の品質改善(その32)

更新日

投稿日

中国工場

 前回のその31に続いて解説します。

【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方

(4)歯車に共通するもの

 それぞれの歯車を見て気が付いたと思いますが、どの歯車にも人の部分が必ず付いてきます。各歯車の段階で大に関する対処をしていく必要があります。中国工場の品質管理を進めていくうえで、大に関わる部分が大きな割合を占めているのは間違いありません。繰り返しますがルールや仕組みを整え、立派な設備を入れてもそれらを運用し管理するのは大であるので、人の部分をきちっと押さえることが重要になります。

(5)どの歯車に問題があるか

 どこの中国工場でもいろいろな問題を抱えている訳ですが、この三つの歯車のどの段階に問題があるかを見ていくと、中国企業の工場と日系中国工場とでは、次のような傾向の違いがあります。

① 中国企業の工場

 中国企業の場合、まだまだ第一の歯車に問題を抱えていると言えます。

 先ず工場トップの考え方や姿勢が問題となります。設備や材料の問題、そして、工場の仕組みやルールに大きな欠陥があるなど整備が十分でないのが中国企業の工場です。当然のように第二、第三の歯車である管理者や作業者への教育も出来ていません。

②日系中国工場

 第一の歯車の部分に大きな問題があることは少ないと言えます。工場の仕組みやルールといった部分はある程度出来ています。問題は、第二の歯車です。管理者教育が大事だということ、必要だということはわかっているのですが、ちゃんと仕組みとして管理者教育が出来ている工場は多くありません。この部分をしっかりやることで工場のレベルが上がる余地があるのが日系工場です。是非、現場の管理者である組長、班長に対する教育を充実させて、工場の管理レベルを上げてもらいたいと思います。

 また、ここが出来ていな...

中国工場

 前回のその31に続いて解説します。

【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方

(4)歯車に共通するもの

 それぞれの歯車を見て気が付いたと思いますが、どの歯車にも人の部分が必ず付いてきます。各歯車の段階で大に関する対処をしていく必要があります。中国工場の品質管理を進めていくうえで、大に関わる部分が大きな割合を占めているのは間違いありません。繰り返しますがルールや仕組みを整え、立派な設備を入れてもそれらを運用し管理するのは大であるので、人の部分をきちっと押さえることが重要になります。

(5)どの歯車に問題があるか

 どこの中国工場でもいろいろな問題を抱えている訳ですが、この三つの歯車のどの段階に問題があるかを見ていくと、中国企業の工場と日系中国工場とでは、次のような傾向の違いがあります。

① 中国企業の工場

 中国企業の場合、まだまだ第一の歯車に問題を抱えていると言えます。

 先ず工場トップの考え方や姿勢が問題となります。設備や材料の問題、そして、工場の仕組みやルールに大きな欠陥があるなど整備が十分でないのが中国企業の工場です。当然のように第二、第三の歯車である管理者や作業者への教育も出来ていません。

②日系中国工場

 第一の歯車の部分に大きな問題があることは少ないと言えます。工場の仕組みやルールといった部分はある程度出来ています。問題は、第二の歯車です。管理者教育が大事だということ、必要だということはわかっているのですが、ちゃんと仕組みとして管理者教育が出来ている工場は多くありません。この部分をしっかりやることで工場のレベルが上がる余地があるのが日系工場です。是非、現場の管理者である組長、班長に対する教育を充実させて、工場の管理レベルを上げてもらいたいと思います。

 また、ここが出来ていないので、第三の歯車である作業者の意識向上も十分には出来ていません。

 ※仕入先などの中国工場を見るとき指導する場合は、このような傾向を頭に入れておくと問題点がよく掴めるようになります。

 次回は、【3.2 中国工場のABC】から解説を続けます。 

 【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行 筆者のご承諾により、抜粋を連載

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
特注品・受注生産に適した生産方式とは

        今回は、次のような、家具工場を想定して、特注品・受注生産に適した生産方式について解説します。   1. 想定する特注品・受注生産...

        今回は、次のような、家具工場を想定して、特注品・受注生産に適した生産方式について解説します。   1. 想定する特注品・受注生産...


儲かるメーカー改善の急所【連載記事紹介】

    ◆改善は誰のために行うか~お客様からのご要望に応えるため! これは意外と忘れがちなのですが、私たちが毎日工場で生産し...

    ◆改善は誰のために行うか~お客様からのご要望に応えるため! これは意外と忘れがちなのですが、私たちが毎日工場で生産し...


中国と日本企業の違いとは 中国工場の品質改善(その56)

【中国工場の品質改善 連載全84回から各章の冒頭ページ 】 【第1章】中国進出での失敗事例 【第2章】中国工場の実状を知る 【第3章】中国工...

【中国工場の品質改善 連載全84回から各章の冒頭ページ 】 【第1章】中国進出での失敗事例 【第2章】中国工場の実状を知る 【第3章】中国工...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
新事業開拓 伸びる金型メーカーの秘訣 (その18)

 今回、紹介する機械加工メーカーは、Y工業です。同社は、プリント基板への微細穴あけ加工の事業において40年の歴史があり、その専門技術の高さにより、これまで...

 今回、紹介する機械加工メーカーは、Y工業です。同社は、プリント基板への微細穴あけ加工の事業において40年の歴史があり、その専門技術の高さにより、これまで...


3次元設計のメリットを追求した金型事業の高度化 伸びる金型メーカーの秘訣 (その44)

 今回紹介するプレスメーカーは、K工業株式会社です。3次元設計のメリットを追求した金型事業の高度化について解説します。 1. 3次元設計のメリットを...

 今回紹介するプレスメーカーは、K工業株式会社です。3次元設計のメリットを追求した金型事業の高度化について解説します。 1. 3次元設計のメリットを...


決め打ちになっている不良原因の分析 中国企業の壁(その47)

        工場のレベルを上げ、中国で生き残るための条件としては、日系工場であっても中国人スタッフによる品質改善を進めることが出来るようにするこ...

        工場のレベルを上げ、中国で生き残るための条件としては、日系工場であっても中国人スタッフによる品質改善を進めることが出来るようにするこ...