前回のその54に続いて解説します。
【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方
【中国異文化コミュニケーション】
◆ 中国で注意すべきこと
(3)贈ってはいけないもの
日本でも櫛(くし)は「苦」「死」を連想させるので贈り物としては避けられていますが、中国でも避けた方がよい贈り物があります。みなさんも中国で会社や個人として贈り物をする機会もあると思いますので、贈り物に関するマナーも知っておき、いらぬ失敗をしないようにしましょう。
① 発音にまつわるもの
中国で贈り物として絶対に避けるべきものとして、置時計があります。これは時計を中国語で「鐘」(ジョン)といいます。時計を贈る意味の言葉として「送鐘(ソンジョン)」と発音しますが、同じ発音で「送終」という言葉があり、こちらは死者を看取るという意味があるため縁起がよくありません。ただし、腕時計は「手表」(ショウビャオ)というので問題ありません。同じように発音から避けるべき品物として次のものがあります。
・傘
傘は「雨傘」(ユーサン)といい、このサンと同じ発音で「バラバラになる」という意味の「散」から離散(リーサン)などを連想させます。
・靴
靴は「靴」(シエ)と発音し、同じ発音の言葉に「邪」があります。「邪」は「おかしい、怪しい」という意味となります。
・梨
「梨」(リー)と発音し、同じ発音に「離」があり「別れる」という意味です。
② 色にまつわるもの
・緑色の帽子
緑色の帽子は「妻を寝取られた男」という意味があリ、軽蔑を表すものになりますから贈り物としては絶対に避けてください。また、工場でかぶる帽子の色を緑色にしてはいけません。
・赤色
こちらは贈っても良い例です。中国人にとって縁起が良く、お祝いごとには欠かせない色です。結婚式で新婦が着るドレスの多くは赤色ですし、祝儀用の袋を紅包といいますが、文字通り赤色です。
・白
葬式のイメージがあり縁起の悪い色とされています。
・黄色
黄色には、相反する2つの意味があります。一つは、お金や金運に通じる高貴な色としての意味です。もう一つは卑狼(ひわい)の意味で、日本ならピンク色がそれにあたりますね。中国語で「黄金小説」とは官能小説のことです。
③ 政府要人への贈り物
日本から社長などが工場に来たときに地元政府を表敬訪問することもあるかと思います。当然手ぶらでは行きませんが、その時のお土産は高価なものではなく、ちょっとしたものでよいのです。高価なものを贈ることは、汚職と受け取られかねないので先方も嫌がります。
④ お土産
ここでは贈ってはいけないものではなく、贈り方に関するマナーを伝授します。
中国への出張前や中国工場駐在員が一時帰国した時など、中国工場スタッフ用に日本のお土産を買うことも多いかと思います。お菓子などの食べ物でも何か良いか迷うところですね。そんな時は、名の知れた有名どころのものを買っていくのが無難です。
中国人スタッフに渡す時「これは日本でとても有名なお菓子で、あなたのために成田空港で選んで買いました」と言いましょう。空港のショップの袋に入れて渡せば、中国人スタッフも本当なんだと思ってくれます。決して謙遜して「つまらないものですが」などとは言わないようにしてください。あなたのために一番いいものを買ったというのが、渡される中国人の面子をくすぐります。
仮に贈り物をする際分からなかったり、迷ったりした時は中国人スタッフに遠慮することなくアドバイスをもらいましょう。知らないことは恥ずかしいことではありません。それよりも知ったかぶりしてタブーの品を贈る方がよっぽど恥ずかしいことです。
(4)割り勘
日本では当たり前の割り勘ですが、中国では割り勘という習慣がありません。中国では食事やお酒は、奢って奢られ関係を深めていきます。今回、中国人に奢ってもらったら、次回はあなたがご馳走してあげてください。
(5)イベント開催を避けたい日
次に示したのは反日機運が高まる日です...