【第2章 中国工場の実状を知る】
前回のその9に続いて解説します。
【管理者】
ここで言う管理者とは、呼び方は会社によって違いますが、現場の主管、科長、組長、班長のことです。今回は、主管、科長をみていきましょう。
(2)主管・科長
作業者から班長を経て科長になる人もいますが、他社の管理職経験者や大学卒の新人を将来の候補として採用している企業が多いようです。
① 主管、科長の役割
現場の主管や科長には、班長とはまた違った多くの重要な役割があります。現場の日常管理を任せることになる訳で、日々の生産が問題なく行われること、何か問題や異常が発生したときの対処など生産品の品質確保という重要な役目を持っています。
生産品の品質確保という面では、継続的な改善を進める担い手としての役割もあります。生産や工程の問題点は、常に現場にいるスタッフ、現場のことをよく知っているスタッフが一番よくわかっているはずです。これらスタッフに改善を進める意識や力がないと改善は出来ません。現場の管理の他にも作業者や班長への教育係としての役割も担ってもらわなくてはなりません。人に教えるためには、まず本人が理解していることが必要です。
② 工場のレベルアップ
現場の主管や科長にこれら役割を担ってもらうことが工場のレベルアップにつながりますし、そうした主管や科長の中から優秀な人がさらに上のポジションにつくことが現地化にもつながっていきます。新卒で入社した管理職候補がすぐに戦力になるのは難しいでしょう。ですが、戦力になるまで会社にいてもらわなくてはなりませんし、一人前の管理者になった後にこそ定着させる必要があります。筆者がいろいろな工場を見てきた経験では、管理者の定着率がよくない工場の管理レベルが高いことはありませんでした。
(3)管理者の定着のために必要なもの
現場の組長や班長が、工場のQCDを支えるキーパーソンで、主管や科長は改善の担い手であると書きました。ということは、この人たちの定着が、工場にとって非常に重要であることを意味しています。では、管理者を定着させるのに必要なことは何でしょうか?給料でしょうか。残念ながら違います。お金はもちろん一つの重要な要素ですが、それ以外のところでは作業者とは少し違いがあります。管理者の定着に必要なことは、会社にいることが彼ら自身にとってプラスなると思わせることです。
管理者たちは、自分の将来を考えて、次のことをしっかり見ています。
- この会社にいて得られるものは何か
- この会社にいることでどんなスキルを身に付けることが出来るか
- この会社にこのままいた場合、いったいどこまで出世できるか
この会社にいても何も身に付かない、このまま会社にいてもこれ以上の出世も望めないと思った場合、会社に対する不満となり他の会社に行ってしまうことにつながります。ですから、管理者を育成するためにも、彼ら彼女...