中国企業改善指導のポイント 中国工場の品質改善(その79)

 前回のその78に続いて解説します。

【第5章】中国企業改善指導のポイント

3、二つの視点で考える ~短期視点~

 (1)はその78に記載しています。

(2) 不良を外に出さない仕組み

 不良を外に出さない仕組みでは、次のことを徹底してやります。

・不良品の検出と処置

・工場基本管理

(3) 軽犯罪を放置することが凶悪犯罪の温床になる

 これはニューヨーク市の地下鉄で発生していた犯罪を撲滅するための取り組みのことです。同市の地下鉄は凶悪犯罪が多発することで知られており、利用者も減少の一途を辿っていました。そこで地下鉄を管轄する交通局長が凶悪犯罪を減らすため対策を行いました。

 内容は凶悪犯罪の取締り強化ではなく、ホームや車両の落書きを消すことと軽犯罪を徹底して取り締まることでした。地下鉄ですから無賃乗車など日常茶飯事でしたが、これらも徹底して取締りました。当初は「凶悪犯罪を取り締まらないでいったい何をやっているんだ」との批判が出たそうですが、軽犯罪を徹底して取り締まった結果、凶悪犯罪も激減したのです。「軽犯罪が日常茶飯で起きている」、それを見逃していることが凶悪犯罪を生む温床となっていたのです。つまり軽犯罪を取り締まることで凶悪犯罪の芽を摘むことになっていたのです。

 この事例は中国工場にも当てはめることができます。作業の手順を守らない、治工具などを元の置き場に戻さない、時間を守らないなどの小さな秩序の乱れ=軽犯罪がいずれ大きな秩序の乱れ=大きな品質問題を生むことになるのです。ですから、工場としてやるべき基本管理を徹底することが、品質問題発生を防ぐことに繋がるのです。

4、不良を外に出さない仕組み

(1) 不良品の検出と処置

【検査を機能させる】

 どんなにレベルの低い中国企業でも何らかの検査は実施しています。それで不良品が流出するのは、検査が機能していないからです。検査は行っているけれど不良品がすり抜けている状態です。ですから、取引先が行っている検査で本当に不良品を検出することが出来るかどうかをチェックすることです。検査をしっかり機能させる、検査で確実に不良品を捕まえることです。次のことに問題がないかを確認します。

 また、検査が機能しているかを確認するため、実際に不良品を流...

して漏れることなく検出されるかどうかを確認するのも一つのやり方です。

 他にも検査で不良を見逃す可能性が高いのが、手直し品や再加工品などです。単価の高い製品の場合、検査で発見した不良品を廃棄にせず手直しをして使いますが、手直しによる2次災害が発生することもあり、再検査は手直し箇所だけではいけません。手直し作業や手直し後の検査に問題がないかを現場や記録等でしっかり確認してください。

 次回は【不良品の処置】から解説を続けます。

 【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行、筆者のご承諾により抜粋を連載 

◆関連解説『品質マネジメントとは』

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