1. 資材倉庫の管理
ものづくり企業の在庫は、原材料、中間仕掛品、完成品3つに大別されます。今回は、資材倉庫で管理される原材料の棚卸について解説します。
2. 棚卸の課題
一年の決算月には必ず棚卸をしますが、棚卸台帳と倉庫での実数の差異が問題です。
仮にある品目が100個台帳に記載されていて、現品を数えたところ80個であった場合、20個の差異数量について倉庫や工場内を探し、入出庫履歴をトレースし、製造現場や倉庫担当員に聞くなど、あらゆる対策を講じながら原因を追究しながら必要に応じて数量補正を行います。
しかしながら在庫は資産です。補正金額の大小に関わらず、会社のお金が闇から闇へと葬り去られるのです。しかもこの補正作業はシステム担当者が機械的に行っているケースも多々見受けられるため、大いに疑問が残ります。
3. 改善
あるべき姿とは、棚卸台帳と実数との完全な一致です。そのための施策を以下に述べます。
- (1) 業者からの入荷:業者からはトラック便による納入が多いと考えられますが、迅速な入荷受入ができるスペース確保が求められます。物量が多い場合、すべての資材を短時間に検品することは困難です。業者発行の送り状には業者側で梱包箱数などが明記されていますが、最低でも倉庫の受入員は梱包箱数量を確認し、自社の承認印やサインをする必要があります。
- (2) 検収:物量が多い場合は、全品ではなく抜き取り検品をするケースも見受けられますが、基本は納品書に記されている品目を一つずつ丁寧に検品します。
- (3) 格納:決められた棚へ格納します。先入先出ができるよう、入荷資材は棚の奥から格納します。また、格納棚へは棚番地を予(あらかじ)め付与し、どこに何があるのかを棚番地をキーにして分かるようにします。床置き資材の場合は、検収済みの資材は最下部にします。
- (4) 余剰品:資材によっては数量もしくは荷姿から所定の格納棚に格納しきれないケースも出てくるでしょう。この場合は、例えば「余剰品あり」と記したカード等を格納棚脇に表示し、余剰品のある棚番地も合わせて記入します。そうすることで余剰品の保管場所が一目で分かります。
- (5) 出庫:資材倉庫には基本的には製造現場作業員など他部署員は入ることができないようにします。出庫は「出庫票」を用いて、資材と出庫票が必ず一緒に動くようにします。また、可能であれば出庫時間を予め決めておく必要があります。
- (6) 在庫データ:エクセルやアクセスで作成の簡易在庫システムから高価な在庫管理システムと多種多様なシステムがありますが、ここではエクセルやアクセスを使った簡易版で説明します。品番、品名、仕様、寸法、単位、棚番地を...
4. 確実な入出庫業務
棚卸精度を向上させるには、倉庫(ロジスティックス)担当員をつけ、確実な入出庫業務を行うことが第一です。棚には棚番地を付与し、余剰品表示をするなど“目で見る”管理の仕掛け作りも大切です。また、予め決めておいた棚番やエリアに対して台帳と実数とのチェックをおこなうサイクルカウントも棚卸精度向上には有効な手法です。