今回は「N7(新QC7つ道具)」を取り上げます。
1. N7…?
N7とは”New QC 7 tools”、つまり「新QC7つ道具」の略称で、QC7つ道具の略称Q7に対比してこう呼ばれます。しかしそもそも新QC7つ道具自体がQC7つ道具に比べて認知度が低く、その略称であるN7と聞いて即座に回答ボタンを押せる人は、品質管理関係者だけでしょう。
N7の起源ですが、まず製造業におけるQC活動の高まりとともに高度成長期の1960年代末頃から「QC七つ道具」が主に生産現場改善で数値統計に使われていました。それに加えて定性/言語情報の分析に対するニーズが高まったため、日科技連主導の元で1972年から新しいツールの検討が始まり1977年、管理者・スタッフのために発表されたのがN7です。
その中身は、親和図法、連関図法、系統図法、マトリックス図法、アローダイアグラム、PDPC法、マトリックスデータ解析法の七つからなり、主に品質改善、業務改善の計画用途で使用されます。以下簡単に説明します。
(1)親和図法(KJ法)
あいまいな事柄を理解するにあたり、複数のメンバーで意見、事実等をカードに記述し、集めた中から親和性の高いグループを探し、そこに新たな名前を付けていく事で、構造を明らかにし、事象を整理してゆく方法です。考案者の川喜多二郎氏のイニシャルからKJ法とも呼ばれます。
(2)連関図法
複雑な事象に関して「原因→結果」という矢印を付してゆく整理法です。事象が複雑に絡み合う問題では、多くの要因を検討する必要があります。全ての項目、要因を原因→結果の関係で整理する事で、真の原因に手を打ち、効果的に対処することが可能になるほか、作成する過程で気づかなかった要因を発見する契機ともなります。
図1.連関図法
(3)系統図法
ものごとを考える過程で、ある項目と因果関係のある複数の項目を順次ツリー状に結び付けてゆくことで系統的に整理する方法です。目的を実現する方策・手段を展開してゆく「方策展開型」と、組織図などのように業務や機能の構成要素を系統的に整理する「構成要素展開型」に大別でき、いずれも思考を構造化して整理する方法です。
図2.系統図法
(4)マトリックス図法
マトリックスとは縦横すなわち行と列からなる構造ですから、この図法は、ある事象を表現する二つの特性を縦横の表形式に配置することで問題点を多面的に把握し、その解決に役立てる方法です。二つの項目の関連度合いを◎○△などと記入してゆく事で、問題の分布状況や全体像が理解しやすくなります。 項目の選び方が重要ですので、連関図や系統図などを利用して重要項目を選択します。
(5)アローダイアグラム
プロジェクトの計画に際して、作業と作業を矢印(アロー)で結び、そこに所要時間を配置することで、最短時間やCP(クリティカルパス)を見つける方法です。タスクをバー状に表現するスケジュール管理のガントチャートに似ていますが、この場合タスク数が増えてしかも相互の関係性が複雑になると管理が難しくなるため、PERTの価値が出てきます。
(6)PDPC法
PDPC法は「Process Decision Program Chart(過程決定計画図)」の略称で、何らかの計画を策定する時に開始からの過程を、いろいろと予測される全ての事態に対してあらかじめ対策を準備して、矢線でつないだ図を作っておく方法です。もともと1968年の東大紛争の際に、当時教授だった近藤次郎氏が、予測困難な紛争の進展とその分岐ごとに異なる対応を計画したことから創り出したものであり、未確定、未知な事項に対して迅速に行動する必要がある場合に有効です。
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