システム導入に対する考え方 儲かるメーカー改善の急所101項(その57)

5、設備改善の基本

◆ システム導入に対する考え方

 システムを万能のように考えて、導入すれば生産性は飛躍的に高まると思いこんでいる会社は多いものです。

 しかしシステム導入によりかえって管理のための人が増え、在庫が増えたりする事例が後を絶ちません。そして結果として借金まで増えて、完全に経営の足を引っ張っているケースさえ見掛けます。

 システムは、特定の作業を高速に行うことを得意としています。いったん型にはまれば素晴らしい能力を発揮しますが、応用性には乏しく、別の作業と連携したり変更の頻度が高い場合には、その不得意な面が顔を出します。

 ものづくりには複雑な工程が数多くあります。工程間の流れを作れていなければ、システム導入によってつなぎの部分で中間在庫が貯まります。工程数を減らし、中間在庫を持たなくても工程がつながるような流れを作ることで、はじめてシステム導入が活きてくるといえるでしょう。

 

 以前、私が改善をお手伝いしたK社では大きな生産管理システムを導入したのですが、全く使えておらず困っておられました。私が現場を拝見すると工程の分割が細か過ぎた結果、中間在庫が多く散らかり放題の状態でした。

 そこでみんなでKZ法(経営者参加型の5S技法)を行って問題を抽出し全員で改善を行った結果、工場がものすごくすっきりしたのはもちろんですが、工程数を減らしてモノが停滞せず流れるようになりました。そしてシステムが使えるようになったのです。

 後日談ですが、K社が導入した同システムを設計した会社の宣伝に、システム導入により在庫が減り生産性が上がった成功事例としてK社が取り上げられていたのですが、ちょっと複雑な気持ちになったものです。

今回の言葉   

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 工程間の流れを作れていない限り、システム導入によってかえって管理が発生し在庫が増える。
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「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」

    日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫 

 

◆関連解説『生産マネジメントとは』

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