技術者のための文章力向上法

1. 技術者の週報・月報の課題

 筆者は長年、若手研究・技術者、中間管理職、役員など、多階層の研究・開発に関わる人々の日報、月報、レビュー書等を読んできました。そこで記入ミスや勘違いは除外しても、通常の報告書は、出来の悪いものの方が圧倒的に多かったことを覚えております。研究者は、学会論文執筆時に、第三者の査読を受けており、そこで論文の書き方の基本を学習しています。しかし、一般の技術者や管理者は、日常業務の報告書でオンザジョブの訓練とならざるを得ません。社外論文を執筆した経験の少ない技術者や管理者は、適切な指導を受けずにきています。この反省から、口を酸っぱくして指摘し合ってきたことで、非常に文章力が向上できる簡単なチェックポイントを紹介します。一番身近なチームレベルの週報会などで、訓練されることが上達の近道と考えています。

                  図1 週報会等のOJT場面

 

2. 伝わる週報・月報 5つのチェックポイント

2.1 5W2Hを適切に盛り込み、結論(主張)⇒理由⇒その意味等の順に簡潔に表現する

 日常業務では、原則として、結論から先に述べます。1文節は、60字以内に記述すると非常に読みやすくなります。どんなに長くても100字をmaxと考えましょう。

2.2 体言止めは、例外を除いて使わない。完了形、進行形等を明確にする

 例えば、「実施。」では、実施予定なのか、実施中なのか、実施済みなのかはっきりしません。

 
2.3 先週の週報(月報)から今週の週報(月報)へ重要キーワードを引き継ぐ

 多くの人は、先週や先月の報告は覚えていません。重要キーワードは、簡潔に要約して説明を加えたほうがよいのです。先週や先月の報告書を読み返す時間の無駄をや、言った、言わない、のトラブルも防げます。

2.4 週報では特に問題点と対応策に主眼をおき、月報ではその結果がどうなったかを論点とする

 月報では、週報ほどの細かな内容の報告まで求められていません。その使い分けが、...

結果として、技術者、管理者などの時間の節約になります。

2.5 自分が何を行ったかの視点を主とする

 チームの業務の場合、他のメンバーの業務まで記述する者も少なくありません。自分が何を考え、実行したのかが抜けているケースが非常に多いのです。顕著な例として、他部門主催の会議に参加した場合などに注意が必要となります。

◆関連解説『人的資源マネジメントとは』

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