1. 本質を理解すること
知り合いの新聞記者の方からいただいた資料の中から、「本質を理解する」という文章を紹介します。
本質をしっかり理解していないと、分かりやすく説明が出来ない。同様に何を切り捨てればよいか(切り捨てても大丈夫か)、分らなくなる。新聞社に記者として入ると、最初に先輩から教えられることは「難しく書くことは簡単だが、分かりやすく書くことは難しい」ということです。書いていることを本人が完全に理解していないことがよくあります。本質を理解していないから「簡潔に説明できない」のです。理解していれば分かりやすい言葉に置き換えて説明が出来るはずです。
2. 本質を理解していないと伝わらない
東日本大震災の時に浦安市で発生した液状化が、地震時の災害として大きくニュースで取り上げられました。例えば、液状化についてまったく知識のない人に、液状化のことがわかるように説明するためには、自分が、液状化の本質を理解していることが必要です。不正確な知識、浅い理解で液状化のことを説明しても、相手がわかるはずはありません。
「液状化は、緩い砂質土地盤で・・・・」と説明しても、不正確な知識、浅い理解では、「緩いとはどのような状態ですか?」、「砂質土地盤とはどのような地盤ですか? 砂質土地盤の定義はありますか?」、「なぜ、砂のような地盤だけで液状化が発生し、関東ローム層のような粘土の地盤では液状化が発生しないのですか?」などのように、液状化に関して掘り下げて質問されたら説明できないことが出てくると思います。
3. 本質を理解することとは、掘り下げて理解すること
「伝えるべき内容(例えば、業務の内容など)を書き手が掘り下げて理解していることでわかりやすい文書を書くことができる」ということを認識する必要があります。
「掘り下げて理解すること」は「本質を理解すること」と同じ意味です。先ほどの液状化の例で考えるならば、「液状化の本質を理解すること」とは、「液状化のことを掘り下げて理解すること」です。掘り下げて理解しているから掘り下げた質問にも回答できます。
「伝えるべき内容を書き手が掘り下げて理解していることでわかりやすい文書を書くことができる」とは、「伝えるべき内容の本質を書き手が理解していることでわかりやすい文書を書くことができる」と言い換えることができます。
4. 掘り下げて理解することで、わかりやすい文書が書ける
「伝えるべき内容を書き手が掘り下げて理解していることでわかりやすい文書を書くことができる」とは、よく考えれば当たり前のことです。しかし、これは、あまり認識されていないような気がします。「わかりやすい文書の書き方」をテーマとした社員研修やセミナーでは、必ず、「伝えるべき内容を書き手が掘り下げて理解していることでわかりやすい文書を書くことができる」ということを説明しています。
社員研修やセミナーの終了後、出席者の方々に書いていただいたアンケート結果を読むと、「このことに初めて気が付いた」と書かれた方もいらっしゃいました。「伝える内容をよく理解していないと伝わらないということに気がつけたのは良かった」と書かれた方もいらっしゃいました。
「伝える力(池上彰著:PHP研究所)」の中で、池上氏は、次のようなことを書いています。
「伝える」ために大事なこと。それは...