~第5ステージ:データ解析『データ変換、水準和・工程平均の計算』 実験計画法実施マニュアル(その11)

 

 前回はデータの確認についてお話しましたが、今回はデータ変換以外に加法性との関係のほか、第5ステージフローチャートの3~6番目にあたる「水準和の計算~要因効果図の作成」についても簡単に触れます。

1. データ変換と加法性

 A1B1C1からなる信頼度60%のシステムがあると仮定し、これをA2(80%)、B2(90%)、C2(95%)の信頼度の部品と交換したとします。信頼度は部品の信頼度アップ部分(利得)がすべて貢献するものとします。

 部品交換後の信頼度を測定するには次の4方式があります。

①算術法

②オメガ(ロジット)変換法

③逆正弦変換法       

④対数変換法

 これら計算結果を表1、表2に示します。

表1. 信頼度と変換

表2. 推定式と推定値 

 算術、対数変換は100%以上ですし、逆正弦変換はC2(95%)で、いずれも不合理な数字となっています。オメガ変換が合理的な数字を提供できる推定式です。この時、百分率データに対し、オメガ変換は加法性があるといいます。生データそのままの算術計算だけでは加法性がありません。本ケースは百分率データの変換を示しましたが、他のデータも適切な返還を実施すると良いでしょう。表3にも示しますが、データがy1y2y3……yn

   

 とします。
データがある限定された狭い範囲であれば、加法性が成立しますので生データで解析しても良いと思います。また広範囲に散在する時は、データ変換を行った方が良いでしょう。

表3. 代表的なデータ変換

 

2. 要因効果図の作成と最適条件の選択

 各因子の出力への影響度を知るため、SN比に変換されたデータから要因効果図を作成します。この図を作成するため、因子水準ごとの和を「水準和」として求め、この水準和を求めたデータ数で割った水準平均を計算します。

 水準和を求めるにあたっては、

と。多水準やダミー法アソビ列などは、そのデータ数が異なっていることに注意することが必要です。

 また、工程平均をもとめる際は、

  • 水準和をデータ数で割る。ただ、累積データは水準の最終値を100%として求めること。
    以上、2点に注意してください。

 

 次回は「第5ステージ:データ解析『最適条件の決め方』」について解説します。

◆関連解説『SQCとは』

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