アンケートは構成、用意する質問の作り方、選択肢、質問文とその表現によって、結果が激変します。アンケートにより課題を洗い出し、その課題が数値化出来れば、課題解決に繋がります。例えば、NPS:顧客ロイヤルティを測る新指標のアンケートで「ロイヤルティの高いお客様」を発見するためには、お客様にどのような質問をすればいいのでしょうか?この場合は「ロイヤルティの高いお客様」の特徴的な行動につがる質問を見つけることになります。
アンケート設計の前提は、回答者がスラスラと答えやすいこと、真の声を数字化したいので正確な回答を得られるよう吟味した構成とすることです。回答者が答えやすいアンケートとは事実を聞く質問が答えやすいのです。例えば、性別を問う質問は迷うことなく答えることができます。アンケートの実施形態は、面接法、留置法、郵送法、電話法、インターネット法、集合調査など多種多様で、目的とする対象や期間、内容によって適切に使い分ける必要があります。
今回はアンケート調査における段階評価の活用と集計結果の評価について解説します。
1、アンケート調査において段階評価(5段階評価)を使う理由
アンケート調査を設計する時、選択式の設問を検討すると以下のような例になります。今回はある商品で使用意向評価をする場合です。
問:あなたが本商品を使って良かった点を挙げて下さい(複数回答可)。
- 機能がよい
- 性能がよい
- デザインがよい
- 価格が適切である
- 操作性がよい
- 壊れにくい
- その他( )
上記の選択式の設問を下図の段階評価に変えます。
図.アンケート法の段階評価の例
【5段階評価の例】
5段階評価であれば、その評価は数値として扱え、統計分析が可能になります。
この例でいえば、各評価項目の
- 平均値:データの中心
- 標準偏差:ばらつき
各評価項目間の
- 相関:項目間の直線的関係
- 主成分分析:評価項目間の合成
- 因子分析:評価項目間の集約
各評価用語と総合評価用語との因果関係
- 重回帰分析
数字化、統計処理ができ、多面的分析が可能になります。
次に、上記の段階評価を使いアンケート調査を実施した結果、平均値が1点台の場合、その評価は非常に厳しいといえるでしょう。5段階評価に照らし合わせると、最も良い評価は5点のため、例えば100点満点のテストで毎回20点を連続した場合と同じことになります。
また、日本人の国民性で「中庸(ちゅうよう)である3点評価を好み、極端な値である1点や5点評価を付けたがらない」といった傾向がありますが、それでも使用意向評価で1点を付けるということは、本当に「悪い」という結果になります。
1点は逆の意味で「改善点が多い」という気づきもありますが、作り側としてはこの厳しい調査結果を受け入れるのはなかなか難しいと思います。ただ、結果は顧客適合の検証であって、評価点の悪い使用意向の改善は速攻性があります。
また、平均値評価が良い4点、5点をつける回答者層もいるので、その層を判別すれば次の課題解決に繋(つな)がります。
2、アンケート:調査結果が悪かったとき
上記は明確に1点台と確実に悪かった場合の評価ですが、このような場合、以下のようなことが起こります。
- 上司へ報告の躊躇(ちゅうちょ)
- 良い評価の人の抽出
- 調査設計への不信感
内部検証では自社技術で製品化した新製品に自負があるため、評価点が悪くとも、その評価の否定はしにくいのです。また、重点顧客からの要望を入れたにもかかわらず、使用意向の評価が悪いとさらに状況は厳しくなります。
また、そこで隠匿(いんとく)したら組織、顧客不信に繋がり、背信行為になります。最後は自分に返...
対策は、現状は評価が悪かったと受け止め、次の改善策、改良点を見つけることが重要です。少し時間はかかりますが、今回の評価が悪かったことを反省し「次はこういったことをしない。こういったものを作らない」と、悪かった原因を分析して、次に生かすことが必要です。
3. アンケート:結果の内部検証、外部検証
内部検証は、その結果の認識にどうしても経験則が出てしまいます。社内に対して良い評価にしてしまうような誤ちは危険です。良い製品を作り顧客の安心、安全を担保するには、アンケート調査をアンケートの設計段階から吟味して調査方法を考慮することです。その為には、顧客に対しての商品検証は、内部検証ではなく外部に調査を依頼して客観的な結果を得た方が良いでしょう。