◆ イオン化傾向の定義
元素によってイオンへのなりやすさは異なります。イオン化傾向とは金属が電子を放出してイオンになりやすい順序を並べたものです。これを図1に示します。
図1.イオン化傾向
特徴として、イオン化傾向の大きい金属は「卑金属(ひきんぞく)」[1]と呼ばれ腐食しやすく、イオン化傾向の小さい金属は「貴な金属」と呼ばれ腐食されにくくなります。ここで、イオン化傾向の異なる鉄と亜鉛を接触させて、希硫酸などの電解質に浸した場合、鉄よりも亜鉛の方が卑な金属なので亜鉛が溶出してイオン化します。しかし、亜鉛よりもさらに卑なアルミニウムを接触させて電解質に浸すと、より卑な金属であるアルミニウムがイオン化して溶出します。
このようにイオン化傾向は相対的な金属の溶出しやすさを読み取ることができます。
また、イオン化傾向は個々の金属の順位だけでなく、水や酸に対する反応などから、ある程度のグループに分けて表現することもあります。もちろん実際の腐食環境は複雑でさまざまな要因が影響しているので、イオン化傾向だけで完全に腐食を予想することは難しいです。また水素は金属ではありませんが、反応の基準となるため、イオン化傾向に含めています。
次回に続きます。
【用語解説】
[1]卑金属:卑金属(ひきんぞく、base metal)は、空気中に放置するときに酸化しやすく、水分や二酸化炭素などによって容易に侵食される金属のこと。...
「ベースメタル」「コモンメタル」などの別名がある。また、同音の非金属とは意味が異なる。一般的には貴金属が対義語とされている(引用:Wikipediaから、 https://ja.wikipedia.org/ 最終更新 2021年3月8日 )。
◆【関連解説:金属・無機材料技術】