商品企画七つ道具:潜在ニーズ発掘とは

 

◆商品企画七つ道具

 前回の商品企画七つ道具:専門家に評価されているのになぜ売れないのかに続いて解説します。今回は、軽自動車の女性開発者を例にして潜在ニーズ発掘、気づき、新しい価値創造までのお話です。商品企画七つ道具を活用する上での、目標は魅力商品や感動商品の創出であり、顧客の顕在ニーズはもとより、潜在ニーズを発掘することが求められます。潜在ニーズを発掘することにより、顧客により喜びを与える商品になり、魅力商品に近づきます。女性開発者の気づきは、次のようです。

【観察例1】

 スーパーの駐車場で観察していて

  ・運転手であるお母さんが雨の日に子供を後部座席のチャイルドシートに載せて、運転席に戻るときに一旦外に出るため、雨に濡れてしまう。

 

【観察例2】

 自分自身が乗車している時に

  ・軽自動車に3人で乗車する時、後席に乗った人が孤立してしまう。話しにくい。

 開発会議に提案し、主査の対応は、上記の2つの問題は一挙に解決し、開発できるとのことでした。

  ・助手席の座席が大きく前にスライドするようにする
  ・運転席から後席へ車内を通って移動できる

  ・助手席の座席が大きく後ろにスライドするようにする
  ・後席と席が近くなる

 しかし、顧客要求を満たすために技術的な問題が山積します。

  ・助手席をスライドするためのレールを床に敷く必要があります。
  ・助手席の下には燃料タンクがあってレールが引けない。
  ・燃料タンクを小さくすると、容量が少なくなって困ります。
  ・燃料タンクの形状を変えると開発に時間が掛かる。

 

 その解決の方法は

  ・床のシャーシの強度を保ちつつ、鋼材が削減できることになった。
  ・鋼材のスペースが空き、燃料タンクの形状を変えて床にレールを引くことにした。

 技術対策は別として、雨の日、助手席。この気づきは女性ならでは視点であり、女性ならではの要求でしょう。

 私もこのような自動車の価値創造のため潜在ニーズを発掘するためにスーパーの駐車場で観察調査したことがあります。商品企画七つ道具のフォト日記調査に近い方法になります。

 時系列に行動を列挙します。着眼点を明確にするために細かく列挙することが大切です。

 

 スーパーでの駐車場での行動

 ・駐車場の入口を探す
 ・駐車場の空いている場所を探す
 ・駐車場所、位置
 ・駐車場へ止める
 ・降車の様子
 ・止まっているとき
 ・荷物を載せる
 ・乗車の様子
 ・駐車場を出る
 ・駐車場の出口を探す

 

 個人属性の記録

 ・乗車人数
 ・子供の有無
 ・性別
 ・車種、車名

 

 駐車場の状況

 ・平置き駐車、立体駐車場...


 ・車の置き方は前向き、後ろ向き、縦列
 ・天気、時刻、日時曜日

 

 駐車中

 ・乗降するとき
 ・荷物を載せるとき

 

 上記の行動を表にし、調査対象者の状況を記録していきます。必要に応じて、ヒアリング、ビデオ撮影もします。不満点、要望点は必ず記録します。また、観察していて、考えていた行動と違う点や、気になる点も記録していきます。これらを表にして行動から対策案、解決案を企画者で行うと新しい視点が見つかります。これらの観察から潜在ニーズを発掘し、顧客に喜びを与える商品の企画を行います。

 

【関連解説:商品企画七つ道具】

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