パーティングラインとは

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パーティングライン

 

プラスチック製品のよい成形パートナーに巡り合えたとしても、品質に対するお互いの認識がずれたまま金型製作まで進めていくと、生産への移行がうまくいかないものです。

形状や材料が決まっても量産開始までにトラブルになりやすいのは、図面に記載出来ないような細かな事項であることが多いのです。量産開始までを短期間で終わらせるには、細かな事項について、入念にすり合わせしておくことが不可欠です。

特に外観良否は立ち上げ時に問題となりやすいのです。問題の発生頻度を減らすために、外観基準を適用すべき範囲を明確にするとよいでしょう。

射出成形金型はプラスチックの成形において最も多く使用され、日本のものづくりを支えてきた技術であり、優れた職人の技術は世界に誇れるものです。しかし、製造業は世代交代に直面しており、若い金型技術者を育成していく必要があるにも関わらず技術の承継が期待するほど進んでいません。そして、金型には今回取り上げる「パーティングライン」のような専門用語も多いようです。

1.「パーティングライン」とは

パーティングラインとは、成形物を金型から取り出す際に、金型を2つから3つで分割しないといけません。

金型の分割されるラインのことをパーティングラインといい、英語では「Parting Line」と表記します。

現場では、呼び方を省略することがあり、その際には、PLラインまたはPL面と呼ぶことが多いです。

パーティングラインは、成形品に分割した時の痕跡が必ず残ってしまいます。

電化製品などの筐体を作る際には、外観と内部が分かれる製品になるため、パーティングラインを設定する場合には、製品を組み立て後に見えなくなる内部に設定するのが基本です。

射出成形する際には、雄型と雌型の合わせ面が必ず存在していて、2つ以上が組み合わさった型の空洞に成形材料の溶解樹脂を圧入する為のパーティングラインのエッジ・線跡が残ってくるのです。

2.「パーティングライン」の材料などの違い

金型にはいくつか種類がありますが、代表的なものとして、プラスチック用金型があります。

プラスチックを生産する際には、射出成形や圧縮成形をはじめ、真空成形などの成形法があります。

これらには、プラスチック用金型が使用されます。

射出成形は、プラスチック材料を加熱して、溶融します。

その後に、射出圧力を加えて、金型に押し込んでいき、製品を成形することをいいます。

金型内で、プラスチックを冷却して取り出されていきます。

プラスチック製品を作ることを樹脂加工といい、熱可塑性樹脂と呼ばれる樹脂が使用されています。

 

その他にも、鋳造型というものがあり、鋳鉄や銅などの金属を素材として利用し、高温で熱して液状の状態に変えて、型に流し込んで、冷却を行います。

そうすることで、液体の金属を固化させて個体の製品を作ることができます。

 

3.「パーティングライン」の不良と対策

パーティングラインには金型の特性上、バリが発生しやすい特徴と性質があります。

バリが発生するメカニズムを説明しますと、以下の理由が関係しています。

①成形の繰り返しで、金型が摩耗してきている。

②成形機の型締めの力が、射出圧力に負けてきている。

③パーティングラインが複雑すぎて、金型が上手く嚙み合っていない。

 

精密なプラスチック成形品には、以下の不良があります。

①ショートショット

成形品の一部が欠けてしまう状態です。

樹脂が充填しきらないため、発生する現象です。

組み込み部品であっても、寸法外れの原因となります。

以下の対策があります。主に、成形時の対策になります。

・射出圧力を適正に変える。

・樹脂の温度を調整する。

・射出速度を調整する。

・材料の供給量を調整する。

・材料を流動性の低いものにしてみる(材料の選定の変更)。

 

②フローワーク

キャビティ内を流れる樹脂が、めくれたり、振動しながら進んでいくので、流動した痕跡が模様となって成形物に現れてしまうことをいいます。

原料の樹脂の流動が悪い、流動性が低いことが原因で起こります。

以下の対策があります。

・樹脂温度を調整する。

・射出速度を調整する。

・射出保持圧力を高くする。

・型温を上げる。

 

4.金型製作・トライ

図面・仕様書が完成したら、金型製作に着手しますが、金型完成には通常30~45日必要です。金型ができ...

パーティングライン

 

プラスチック製品のよい成形パートナーに巡り合えたとしても、品質に対するお互いの認識がずれたまま金型製作まで進めていくと、生産への移行がうまくいかないものです。

形状や材料が決まっても量産開始までにトラブルになりやすいのは、図面に記載出来ないような細かな事項であることが多いのです。量産開始までを短期間で終わらせるには、細かな事項について、入念にすり合わせしておくことが不可欠です。

特に外観良否は立ち上げ時に問題となりやすいのです。問題の発生頻度を減らすために、外観基準を適用すべき範囲を明確にするとよいでしょう。

射出成形金型はプラスチックの成形において最も多く使用され、日本のものづくりを支えてきた技術であり、優れた職人の技術は世界に誇れるものです。しかし、製造業は世代交代に直面しており、若い金型技術者を育成していく必要があるにも関わらず技術の承継が期待するほど進んでいません。そして、金型には今回取り上げる「パーティングライン」のような専門用語も多いようです。

1.「パーティングライン」とは

パーティングラインとは、成形物を金型から取り出す際に、金型を2つから3つで分割しないといけません。

金型の分割されるラインのことをパーティングラインといい、英語では「Parting Line」と表記します。

現場では、呼び方を省略することがあり、その際には、PLラインまたはPL面と呼ぶことが多いです。

パーティングラインは、成形品に分割した時の痕跡が必ず残ってしまいます。

電化製品などの筐体を作る際には、外観と内部が分かれる製品になるため、パーティングラインを設定する場合には、製品を組み立て後に見えなくなる内部に設定するのが基本です。

射出成形する際には、雄型と雌型の合わせ面が必ず存在していて、2つ以上が組み合わさった型の空洞に成形材料の溶解樹脂を圧入する為のパーティングラインのエッジ・線跡が残ってくるのです。

2.「パーティングライン」の材料などの違い

金型にはいくつか種類がありますが、代表的なものとして、プラスチック用金型があります。

プラスチックを生産する際には、射出成形や圧縮成形をはじめ、真空成形などの成形法があります。

これらには、プラスチック用金型が使用されます。

射出成形は、プラスチック材料を加熱して、溶融します。

その後に、射出圧力を加えて、金型に押し込んでいき、製品を成形することをいいます。

金型内で、プラスチックを冷却して取り出されていきます。

プラスチック製品を作ることを樹脂加工といい、熱可塑性樹脂と呼ばれる樹脂が使用されています。

 

その他にも、鋳造型というものがあり、鋳鉄や銅などの金属を素材として利用し、高温で熱して液状の状態に変えて、型に流し込んで、冷却を行います。

そうすることで、液体の金属を固化させて個体の製品を作ることができます。

 

3.「パーティングライン」の不良と対策

パーティングラインには金型の特性上、バリが発生しやすい特徴と性質があります。

バリが発生するメカニズムを説明しますと、以下の理由が関係しています。

①成形の繰り返しで、金型が摩耗してきている。

②成形機の型締めの力が、射出圧力に負けてきている。

③パーティングラインが複雑すぎて、金型が上手く嚙み合っていない。

 

精密なプラスチック成形品には、以下の不良があります。

①ショートショット

成形品の一部が欠けてしまう状態です。

樹脂が充填しきらないため、発生する現象です。

組み込み部品であっても、寸法外れの原因となります。

以下の対策があります。主に、成形時の対策になります。

・射出圧力を適正に変える。

・樹脂の温度を調整する。

・射出速度を調整する。

・材料の供給量を調整する。

・材料を流動性の低いものにしてみる(材料の選定の変更)。

 

②フローワーク

キャビティ内を流れる樹脂が、めくれたり、振動しながら進んでいくので、流動した痕跡が模様となって成形物に現れてしまうことをいいます。

原料の樹脂の流動が悪い、流動性が低いことが原因で起こります。

以下の対策があります。

・樹脂温度を調整する。

・射出速度を調整する。

・射出保持圧力を高くする。

・型温を上げる。

 

4.金型製作・トライ

図面・仕様書が完成したら、金型製作に着手しますが、金型完成には通常30~45日必要です。金型ができたらトライと呼ばれる成形テストを複数回行います。

 

PL(パーティングライン)の位置や段差の大きさ、ゲートの位置や処理方法についてもすり合わせをしておきます。PLやゲートの位置は成形加工メーカーとすり合わせした後、図面に明記します。

 

製品の難易度が高かったり、金型の修正を何度もやらなければならなかったりする場合は、トライを行う期間が長くなります。

 

立ち会わずに成形加工メーカーから送られてくる試作品だけを見ていては気付かないことも多いので、トライに立会いましょう。費用をかけて金型修正をしなければならないこともあります。その場合に問題になるのが費用負担です。

 

費用負担の考え方は業界や地域によって異なるようですが、図面や仕様書を契約書として考え、契約書と異なる要求を依頼者側がする場合は依頼者側の負担、契約書通りに製品が作れない場合は成形加工メーカーの負担とするのが最も合理的です。

 

 

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この記事の著者

大岡 明

改善技術(トヨタ生産方式(TPS)/IE)とIT,先端技術(IoT,IoH,xR,AI)の現場活用を現場実践指導、社内研修で支援しています。

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