商品企画と技術の関係、潜在ニーズの発掘方法とは

 今回は、最初に商品企画と技術について解説して、次に「潜在ニーズの発掘方法」をお伝えします。

◆関連解説記事『商品企画七つ道具:潜在ニーズ発掘とは』

 

先日、商品企画でお世話になった方から「顧客ニーズを発掘した企画案が実現できません」との話を伺いました。商品企画七つ道具における「商品企画の定義」で見ますと、商品企画とは「顧客のニーズを発掘し、それにふさわしい商品コンセプトを考案、決定することである」とあります。

 

1.商品企画と技術の関係とは

【商品開発の流れ】

経営戦略、事業戦略、商品戦略

 一般的な開発の流れからすれば「顧客ニーズを発掘した企画案が実現できない」となると、企画案提案後に技術的展開が必要だったわけです。技術的問題が多すぎて、製品化が難しい場日が多いようです。

 上記の流れからいくと⑧の設計でNGになったわけです。

 自社だけでは解決できないので研究機関や大学関係に打診しているようですが、それでも厳しいようです。そして組織改編が起こり、開発部隊も縮小されてしまいます。当時、意気揚々としていた担当者が悲鳴をあげています。

 今からでは遅いですが、企画案と技術的展開を行っておけば解決できたかも知れません。

 当時の企画案の検証を振り返りますと、

 有望案に絞って、1案の具体化の時に品質表を作成して、顧客要望と実現可能性の二元表を作成し、技術展開を検討すべきと反省します。

 この視点を露呈した体験ですが、顧客要求が高いのに、技術が解決しないのは由々しき問題です。

 

2.潜在ニーズの発掘方法とは

 商品企画七つ道具では顕在ニーズはもとより、潜在ニーズの発掘を勧めます。ここでは潜在ニーズ発掘するための方法を解説します。

 

 商品企画七つ道具において、企画とは顧客のニーズを発掘して、それにふさわしいコンセプトを考案することと定義しています。

 顧客ニーズにふさわしいコンセプトとは、次の5点でこれが顧客を調査した企画案です。

 企画案作成には、次の2点が含まれます。

 ・ニーズの発掘
 ・コンセプトを考案するための調査

 顧客の顕在ニーズは既に要求項目として挙がっているので、さらなる価値創造のためには高い要求項目を発掘する必要が出てきます。特に新規性の高い商品では顧客の「潜在ニーズ」に着目した企画することが望まれます。

 顧客の潜在ニーズを発掘するためには、次の2点を見つける必要があります。

 ・顧客自身が気づいていないニーズ
 ・気づいていてもそのイメージが曖昧なニーズ

 なぜ潜在ニーズの発掘が必要なのでしょうか、

 ・顕在ニーズでは他社の差別化になりにくい。
 ・成熟社会においては顧客の要求は満たされている可能性があります。
 ・急激な社会、環境の変化に顧客要求が追いつかない。
 ・魅力的品質を創造するためには顕在ニーズだけでは物足りない。

 潜在ニーズは顧客から発言された要望だけではないため、

 ・顧客の行動プロセスの洞察
 ・顧客になりきりニーズを考案
 ・顧客の本質的価値・表層的価値など価値の側面の捉え直し
 ・価値提供プロセスにおいて福童・補完して価値を発展させる

 ことによって潜在ニーズを発掘します。

 ここでは顧客と一体となった、行動プロセスの観察の仕組みづくりと情報収集した後のニーズの精査が必要です。

 顧客接点が多い担当者を参集して、顧客の行動を収集する仕組みを構築します。

 BtoBの場合

 ・直接顧客(B)の声や要望・行動
 ・その先に存在する最終顧客(C)の声、行動についても、直接収集します。

 具体的な例

 BtoCメーカーにおいて、

・自社モニターを活用して、製品を使う様子の行動プロセスを把握しました。

 BtoBメーカーにお...

いて、

 ・自社の現場従業員を活用して、工場における動作をモニター観察をしました。
 ・運転者の行動をビデオ撮影して、運転車の言葉で発していない行動から潜在ニーズを発掘しました。
 ・高齢者の行動を観察して、外出時に起こる困りごとを洗い出し、外出支援の器具を開発しました。

 BtoBの場合は、特に価値創造において社会的ニーズを達成する必要もあります。

 昨今話題となるのは

 ・ニューノーマル
 ・Sustainable Development Goals
 ・環境
 ・DX

 これらに対応するのは命題です。

 実際、潜在ニーズを満たした商品は

 ・顧客から「こんな商品を開発してくれたんだ」と共感を生みます。
 ・そういえばこんなの欲しかったんだと口を揃えていいます。

 最近の情報技術の発展により、顧客の声を収集する仕組みを活用します。

 例)ライブカメラ、ICT、行動履歴、GPS、SNSの活用。

 さらなる潜在ニーズの発掘のためには一企画担当者だけの情報収集ではなく、顧客と企業、サプライチェーン、組織が顧客要望を発掘するための継続的な仕組みを作るとよいでしょう。

 

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