【実践編 第2章目次】
第2章 流れ生産で工場に流れをつくる
1. 流れをつくる生産のライン化の手順
2. 多工程持ちで少人化を実現させる
3. 少人化で生産ラインを効率よく、柔軟にする←今回の記事
4. かんばんのしくみで引っ張り生産に転換する
第2章 流れ生産で工場に流れをつくる
実践編 第2章から、JIT改革の具体的な実践手法についての解説に入ります。「流れ生産」は、職場や現場に流れをつくる改革です。「流れ生産」「少人化」「かんばん」の3つの手法を取り上げます。
3. 少人化で生産ラインを効率よく、柔軟にする
生産ラインのスリム化と、効率化を実現するまったく新しい人的なしくみ。
◆ 少人化の手順
少人化を実現するためのさまざまな改革をまとめ、手順化すると次のようになります。
手順1、意識改革
少人化を図るには、頭をフレキシブルにすることから始めましょう。ロット生産をやめる、ラインの定員制をやめる、などというのは、実際には、かなり大胆な改革です。実現のためには、従来の考え方、やり方をいったんすべて捨てなければなりません。そうはいっても、 10年も20年もやってきたやり方を、そう簡単に捨てられるものではありません。どうしても無理だと思ったら、潔く退くつもりで取り組む覚悟が必要です。
手順2、移動可能な設備
大きくて、固定した機械設備は、改革・改善の妨げになるどころか、人々の改革・改善に対する意欲さえ奪ってしまいます。動かしにくいものから、動かしやすいものにすることがコツです。このとき、次のような考慮が必要です。
① 機械設備や作業台にはできるだけキャスターを付けて、移動できるようにする。このとき、キャスターを取り付けることで、作業位置が高くならないように注意する。
② オイルパンの付いた機械設備は、オイル漏れの真因を直して、できればオイルパンを外し、キャスターを付ける。
③ エアーダクトや電源コードの長さに余裕がないと移動しにくいので、少し長めにする。その際、安全面には十分、配慮する。ダクト類は、フレキシブルダクトであればなおよい。どれも、動かしやすさを重視する。
手順3、「人集め」からライン化」
いよいよ、人の配置の改堆に入ります。まず、単独で作業している人を1カ所に集めます。これを「人集め」といいます。あちこちに離れ小島のように作業者が離れている状態では、少人化しにくいので、 まず、この改革から始めます。
人が集まったら、機械や作業のライン化を図り、 1個流しができるように改革・改善を進めます。
手順4、多工程持ち
作業を細分化して担当者に分けるやり方は、少人化の対極にあります。このやり方をやめ、作業者の多能工化を図り、多工程持ちを推進します。これと並行して、次の標準化を徹底させましょう。
手順5、標準化
機械設備や作業方法を標準化することは、多能工化を大きく推進するために欠かせない条件です。誰でも扱える機械設備にし、誰でもできる作業にしていくことが、多能工化を進めるには有効です。
手順6、タクトタイムに合わせた生産
品種と量の平均化を図り、タクトタイムを割り出し、これをもとに、標準作業をいっそう強固なものとします。つまり、 タクトタイムとサイク...
このとき、たとえ人員に余裕があっても、必要人工数を無視して、それ以上の人数を投入することがないように注意が必要です。それでは、平準化の意味を失ってしまい、作業者は、「暇なときは、こんなにだらけてやってもよいのだ」と思ってしまうからです。余った人員は、改革・改善活動に振り向ければよいのです。
次回に続きます。
【出典】古谷誠 著 『会社を強くする ジャスト・イン・タイム生産の実行手順』中経出版発行(筆者のご承諾により連載)