チャンバーとは、「小さな部屋」「空間」といった広い業界で使われる言葉です。
また、空調機器では空調用ダクトの中間に挿入され空気を均等に送り出す装置のことを指します。
普段の生活の中でチャンバーという単語を聞いたことがある方は少ないかもしれません。しかし空気の流れや圧力に関わる多くの機器・装置には、さまざまな形のチャンバーが組み込まれ、その機能を発揮しています。
例えばクルマやバイクでは、チャンバーはエンジンの吸排気機構に組み込まれ、性能を引き出したり騒音を低減したりしています。また医療分野では、減圧症やエアーエンボの治療に使われる再圧装置のことも意味します。密閉式で、内部の圧力を調整できるスペースに人間が入るという仕組みです。
今回は、チャンバーの概要を解説します。
1.チャンバーとは
各種の機器・装置のチャンバーに共通している概念は、膨らみのある形の部分(膨張室)があることです。この膨張室は、真空にする空間、気体を膨張させる空間、何かで満たす空間などの機能を持ち、機器・装置が性能を発揮するための一つの重要なユニットとして組み込まれます。
チャンバーには、加減圧に対する耐圧性能、断熱性能、気密性能などが求められ、その製造には溶接、平面度、面粗度などなど高い技術が求められるものから貼り合わせるだけで機能を果たすものまで、さまざまな構造のものが存在します。
2.空調のチャンバー
屋外からの空気が空調装置のダクト内に入ると、空気はダクト内を移動します。しかし屋外の空気の環境は、風量、風向共に一定ではありません。強風時には、ダクト内を強風のまま移動して、運ばれることになります。この環境変化を常に一定にして、温度・風量を保つのが空調におけるチャンバーの役割です。
一般的なチャンバーはボックス形状をしていて、チャンバーボックスと呼ばれます。分岐や合流地点では空気の作用により、騒音が大きくなったり風量が増したりする特徴があります。チャンバーボックスはそれを阻止するために、ダクトが分岐する部分などに設置され、騒音、温度、風の勢いを調節するため、チャンバー部分が膨らんだ形状にします。
3. 2ストローク・エンジンのチャンバー
自動車の世界でのチャンバーは、狭義では2ストローク・エンジンを搭載したバイクの排気チャンバーを意味します。モータースポーツで2ストローク・エンジンが主流だった時代には、チャンバーの交換によるチューニングが盛んに行われました。
2ストローク・エンジンのチャンバーの仕組みを知るためには、2ストローク・エンジンと4ストローク・エンジンの違いを理解する必要があります。
4ストローク・エンジンにはシリンダーに吸気バルブと排気バルブが備えられているのに対し、2ストローク・エンジンにはそのようなバルブは存在しません。
2ストローク・エンジンの排気工程は、シリンダー内に吸い込まれた混合気が燃焼済みのガスを押し出す形で行われますが、そのシンプルな構造上、燃焼済みのガスと一緒に未燃焼の混合気も出て行ってしまうというデメリットがあります。
チャンバーはこういった排気ガスを排出しながらも、そこに混ざった未燃焼のガスをチャンバーの膨張室から再び燃焼室へ送り返し、圧縮や爆発のパワーを強める仕組みになっているのです。
また、チャンバー側に排出された排気ガスは絞りの部分で反射し、エンジン方向に反射脈動が発生します。
これが一般的に「チャンバー効果」や「脈動効果」と呼ばれる現象で、負圧によって燃焼前に出てこようとする混合気をエンジン燃焼室に押し戻し、充填効率を高めてくれるという訳です。
4.ポンプのエアーチャンバー
エアーチャンバーとは、ポンプの脈動を減少させるために一般的に使われている機器です。容器内の空気の伸縮を利用して往復動ポンプの脈動を抑え、安定した液体の流れを作ります。配管の振動やオーバーフィード現象など脈動にまつわる諸問題を軽減できます。
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1つ目は、安全弁の設置です。配管の詰まりなどにより閉塞された場合、定量ポンプは理論的には無限大に昇圧しますので、もしエアーチャンバーが破損した場合、圧縮した空気が持つ大きなエネルギーにより、大事故に繋がる恐れがあるからです。
2つ目は、チャンバー内の空気量です。定期的なメンテナンスを心掛けましょう。
(2)チャンバーの内側
空気は、チャンバーボックスの中に入るとその音や勢いが緩和され、分岐先へと流れていきます。チャンバーは鋼板製のものが一般的ですが、内側は騒音を抑えるためにグラスウールが貼られています。これによって、保温効果も持たせて、一定の温度の空気を送り込むことが可能です。