前回の「会話から考える論文の書き方」をテーマにした論文の書き方の2回目に続けて、解説します。
【特集】技術士第二次試験対策:技術士第二次試験に関する記事まとめページはこちら!口頭試験や論文対策などのポイントについての記事を紹介しています。
1.読み手に内容が明確に伝わらない論文
前回の記事の中で以下の問題について書きました。
- Q:キャッシュレス決済のメリットについて2つ述べよ。
例えば、解答として以下のようなことを書いたとします。
キャッシュレス決済にすれば、閉店後に行う集計時の現金の確認や売上金の銀行への入金などが省け現金管理業務が効率化される。また、現金を夜間金庫に預けることもなくなる。キャッシュレス決済にすれば、現金とお釣りの受け渡しがないため素早く決済ができる。また、キャッシュレス決済をする人が増えればレジでの持ち時間が短くなる。
これは、「書いてあることはわかる。でも、結局、何が言いたいのだろう」と思う解答です。キャッシュレス化のメリットが不明確な解答、つまり、読み手に内容が明確に伝わらない解答です。
「キャッシュレス決済のメリットとは何か?」と考えて思い付いたことをそのまま書くとこのような解答になります。
以前、技術士第二次試験での論文の添削をしていました。このとき「書いてあることはわかる。でも、結局、何が言いたいのだろう」という内容の論文、つまり、読み手に解答が明確に伝わらない論文が意外に多かった記憶があります。
読み手(試験官)に解答が明確に伝わらない論文がどのような評価を受けるのかわかりません。しかし「キャッシュレス決済のメリットについて2つ述べよ」という問題を例にするならば、前回の記事で書いたような読み手に内容が明確に伝わる解答を書くべきです。
2.「解答の主旨」と「解答の主旨の説明」を考えて論文を書く
「解答の主旨と解答の主旨の説明を考え、これらを使って論文を書くこと」で試験官に解答が明確に伝わる論文を書くことができます。例えば、「得られる成果は〇〇である。・・・・・。」のように書くことです(前回の記事参照)。ただし、前回の記事で書いたように、箇条書きでこれらを書く必要のある問題もあります。
解答の主旨(=解答の軸)とは、例えば、以下のような内容です。
キャッシュレス決済のメリット=「店舗などの事業効率化」と「スピーディーな決済の実現」(前回の記事参照)。
解答の主旨の説明とは、解答の主旨を考えた説明です。例えば、「店舗などの事業効率化」と「スピーディーな決済の実現」を考えた説明です(前回の記事参照)。
まず、「キャッシュレス決済のメリットは何か?」と自問し、「キャッシュレス決済のメリット=店舗などの事業効率化、スピーディーな決済の実現」のように解答の主旨を考え、次に、この解答の主旨(店舗などの事業効率化、スピーディーな決済の実現)を導き出した説明を考えます。次に、これらに基づき解答を書きます。
技術士第二次試験では(前回の記事参照)、例えば、まず、「得られる成果は何か?」と自問し、「〇〇」と解答の主旨を考え、この解答の主旨(〇〇)を導き出した説明を考えます。次に、これらに基づき「得られる成果は〇〇である。・・・・・。」のように論文を書くことです。なお、「・・・・・。」の部分が解答の主旨の説明です。
解答の主旨を書けば、「書いてあることはわかる。でも、結局、何が言いたいのだろう」という論文にはな...