瞬間的に光を発するレーザー光と定常的に光を発しているレーザー光がありますが、よく見るレーザーとしては定常的なものの方が多く、これを連続発振レーザーと呼びます。レーザーはコヒーレント光ビームを発光する装置で、その種類は、固体レーザー、色素レーザー、ガスレーザー、ファイバーレーザー、ダイオードレーザー、エキシマレーザーなどです。
レーザーはその性質上、誤った取り扱でこれを利用すると人体に傷害をもたらすので、各国にはレーザー製品に対する規制が存在します。規制の内容はレーザークラスに紐き、レーザー製品のメーカーは規格を理解した上で、適切にレーザークラスを決定して、必要な安全対策を施すことが必要です。
今回は、このような背景を踏まえて、レーザーとは?原理や普通の光との違い、用途などを解説します。
1. レーザーとは
レーザー(laser:Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation)は、日本語に訳すと誘導放出による光の増幅で、私たちが使っている多くの製品の主要部品として使われています。ブルーレイプレーヤーでは、レーザー技術でディスクからの情報読み取りをおこないます。レーシック手術などの医療分野でもレーザーが使用されています。バーコードスキャナーはレーザーを使用して情報処理をおこないます。現場では材料の切断、彫刻、穿孔、マーキングにレーザーが使用されています。
(1)レーザーの原理
励起状態(原子はエネルギーを吸収すると、低いエネルギー状態から、高いエネルギー状態に移る)は不安定な状態で、低いエネルギー状態に戻ります。これを遷移といい、このときに光(エネルギー差に相当)を放出します。この現象で放射された光は、同じ様に励起状態にある他の原子に衝突して、遷移を誘発、この誘導されて放射される光を誘導放射と言いい、これがレーザーの原理です。
2. レーザーと普通の光の違い
レーザーには普通の光と比べると干渉性に優れて、単色性に優れ、指向性に優れています(レーザー光は直進性が高いのです)。
レーザーは、次の点で通常の光とは異なります。1つは、放出されるすべての光が同じ方向に向かっている、一貫性がある。このため、レーザーポインターは長距離でも明るい点を作ります。 もう1つは、単一周波数の光を放射し、スペクトル幅の非常に狭いものであり、可視光であれば、単色性の光になります。
(1)単色性
普通のランプからは複数の色が混じりあった光が発せられますが、レーザーは単なる1つの波長、周波数の光なので分解されることがありません。普通の光では、例えば太陽光をプリズムに通すと7色の光に分解されます。太陽光が種々の光が混ざり合ったものであるからです。
(2)指向性
普通光からは広がる光が発せられますが、レーザーからは、広がることなくまっすぐに進みます。これが、レーザーの指向性です。
(3)収束性(エネルギー密度)
レーザーは、位相が良く揃い収束性も良く、高密度の光エネルギーを集中できます。この為、焦点温度を数万度まで上げることが出来ます。太陽光は様々な波長を持つため、レンズを通した時の波長ごとの屈折角が異なり、平行光とすることができず、鋭く焦点に集めることが出来ません。
(4)可干渉性(コヒーレント)
レーザーはコヒーレント性(一つの定まった波長を持つ光、連続的に光の山と山、谷と谷が一致する規則正しい光のこと)を持っていますが、自然光はこのような性質は持っていません。
3. レーザーの種類
レーザーの名称は、◇◇レーザーと言います。この◇◇は波長、発振媒体、パルス幅など様々な種類の言葉が入ります。ここではその名称について整理します。
- 【発振方式】:パルスレーザー、CWレーザーの2種で、パルス発振か連続発振かで分類する呼び方です。
- 【発振媒体】:ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、液体レーザー等で、励起光源を受ける媒体で分類する呼び方です。
- 【波長】:赤外線(IR)レーザー、グリーンレーザー、紫外線(UV)レーザー等で、色で分類する呼び方です。
- 【パルス幅】:パルス発振の場合、細かく分類します。マイクロ秒・ナノ秒・ピコ秒・フェムト秒レーザー等で、パルス幅で分類する呼び方です。
4. レーザーのパワーとは
レーザービームが発射される際の光の強さ、エネルギーの量が、レーザーのパワーです。そのパワーの単位は、ワット(W)・ミリワット(mW)で表されます。医療用・産業用のレーザーは数百ワットから数キロワットのパワーで、手術や溶接などに使用されます。レーザーポインターは、1〜5mW程度のパワーで、プレゼンテーションなどに使用されます。
さらに、軍事用のレーザーは数十キロワット以上のパワーを持ち、物を破壊する...