1.業種・業態の違い
企業は事業を行うことを目的とした組織ですが、事業の種類、そのやり方は多様です。最初に事業の種類ついて整理しておきます。業種とは商品・業務の種類の分類です。
多種多様の商品・仕事は、国内は総務省発行の日本標準産業分類に従っています。
(1)ビジネスモデルと業態
同じような商品サービスを提供していても、そのビジネスモデルは企業により異なります。このビジネスモデル、形態の違いをとらえて業態と称します。卸売・小売業は販売の業種ですが、営業形態によりビジネスモデルは異なります。スーパーマーケット・コンビニエンスストア・デパートで、異なるビジネスモデルです。企業ごとのビジネスモデルにより同じ製品・商品を扱っても、業態は異なることもあるのです。
(2)業態を変えた事例
これまでの業態を変えて成長した企業が数多く存在しますが、例として、任天堂があります。任天堂は、世界に知れ渡る企業ですが、創業時は花札等を商材とする企業でした。
任天堂の転機は、1983年に家庭用コンピュータゲーム機を販売したことによりますが、最近ではポータブルで、オンラインでも楽しめる機器が販売されて、世界的なヒット商品を生み出しました。これまでのノウハウの蓄積とニーズに対応した新技術を組み合わせられることが任天堂の強みだと言えるでしょう。
任天堂のように、アンテナを高くしニーズに合う業態に変化することで成功を掴めるのです。今後は多くの企業は更に業態を変化させていかないと生き残れないでしょう。
2.事業再構築補助金と業態転換
事業再構築補助金の事業再構築の類型とは、支援対象となる事業再構築の種類を指しており、次の5つのことです。
- 業態転換:製造方法等を転換する
- 新分野展開:新たな製品等で新たな市場に進出する
- 事業転換:主な「事業」を転換する
- 業種転換:主な「業種」を転換する
- 事業再編:事業再編を通じて新分野展開、事業転換、 業種転換または業態転換のいずれかを行う
再構築補助金では、事業再構築に取り組むことが申請要件になっていますので、この類型をよく理解することが大切です。
3. 業態転換する際の重視すべき視点
(1)業態開発
自社で業態開発を行う際の必要な視点を解説します。
【ポジショニング】
自社業態を選ぶようにするための環境作り、それがポジショニング作りです。このポジショニング作りを行う方法は、次の様な流れで進めます。
- 顧客の購買決定要因の抽出
- ターゲットとなる顧客の購買決定要因の抽出
- 競合業態との購買決定要因との比較
- ポジショニングの決定
【ターゲティング】
多種多様なニーズでマーケットは構成されています。ターゲティングを行うには、市場細分化を行っていきます。この市場細分化には、次の視点が用いられます。
- 年齢、性別、地域、人口、家族構成、職業、学歴 ...
セグメント対象となるマーケットの評価を行っていきます。そのセグメントされたマーケットは十分な収益を獲得出来る大きさがあるかどうか、成長性の有無、競合他社情報、自社戦略とのマッチングなど競合、顧客、自社の視点でターゲット評価すると良いでしょう。
これら、セグメンテーション(細分化)、ターゲティング、ポジショニングをSTP分析といいマーケティングの基本構造とされます。