【この連載の前回:技能伝承で技能を伝えること以外に何を意識すれば良いかへのリンク】
会議も、研修も、勉強も楽しませる。これこそが 改善ファシリテーターです。改善ファシリテーター はコーチングや脳科学と言った人間の心理を理解して、深層までアプローチします。集中力を引き出し、効率を高め、目的達成までのプロセスを楽しませることが、ファシリテーションの技術でありプロの能力です。今回は、改善ファシリテーターのおはなしです。
1.改善ファシリテーター が楽しませるためにしていること
企業研修の目的は、 実は知識を得ると共に行動を起こし成果を出してもらうことです。そのためには、研修での学習内容と研修生の過去の経験や知識を紐付け、研修生が自分の行動へ落とし込むのを促すことが必要です。そして、研修講師は研修生の過去の経験や知識を紐付け、洞察力を働かせ、伝える内容を研修生に合わせて変えていきます。
研修を進めるにおいて、リラックスさせることは避けて通れない大切なことですが、なぜリラックスをさせる必要があるでしょうか?様々な理由が挙げられますが、私は次の2つを気にしています。
- ① 研修中の研修生の姿勢
- ② 研修中の休憩
2.『 楽しい 』と感じさせるテクニック
研修において、研修生達が『楽しくない』と感じる理由は
理解できない = つまらない
と感じるからです。これは、集中力が途切れることで内容についてこれていない状態です。
逆に、楽しいとか面白いと感じる時の脳は 「 解りやすい! 」 と感じている時です。これと ”姿勢” がどのように関係しているのでしょうか ?
実は研修中の研修生を見ていると、背中を丸めて受講している人を多く見かけます。WEB 研修になると、画面を見つめてさらに背中を丸めている人も少なくありません。この状態が長く続くと、
- 肺が押しつぶされている状態が続く。
- 肺に入る空気が減る。
- 血中酸素が減る。
- 脳への酸素供給量が減る。
- 集中力が低下する。
研修中にある研修生が、血中酸素濃度計を指先に装着して参加してくださったことがあります。その測定結果は、周囲の研修生が驚く結果でした。なんと、たった60分で血中酸素濃度が4%も下がっていたのです。脳は最も酸素を使う臓器にもかかわらず、血中酸素濃度が低下すると、そりゃ集中力も続かなくなるわけです。
なので、研修ファシリテーターは、受講生の姿勢にも配りをする必要があるのです。お笑いを取ったり、強烈なパフォーマンスで受講生を楽しませることも手ですが、姿勢・呼吸を整え、リラックスさせ楽しさを感じさせることも必要なのです。
3.『 記憶 』に残るテクニック
研修生に研修内容の振り返りをしてもらうとこんなことも解りました。3通りのパターンにおいて、実質7時間の研修を行い、最後に研修内容の記憶量のテストをしました。
- パターン① 20分に1回のアイスブレイク+60分毎の休憩した場合→記憶量 75%程度
- パターン② 60分毎に休憩した場合→記憶量 50%程度
- パターン③ 120分をぶっ続け研修した場合→記憶量 25%程度
これはマインドマップの父、トニーブザン氏より教えてもらった内容です。適度なアイスブレイク、適度な休憩を取ることにより、記憶が定着しやすいという結果が得られています。研修は講師によって様々な教え...
- どれが一番良いのか?
- どれが自分に合っているのか?
30代後半の頃の私は、 試行錯誤・手探り状態 で悩み続けていました。そんな時、トニーブザン氏より「 学習脳 」について教わることができ、この原理原則を成り立たせるよう自分なりの研修ファシリテーションテクニックを編み出しました。もちろん、インテリジェンス + アカデミック な雰囲気も大切ですが、面白いとのバランスがメリハリとして現れていいのかなと思っています。
次回に続きます。