失敗しない、ロボット導入の第一歩(その11)

 

【ロボット導入の第一歩 連載記事目次】

第11回 ロボット導入にかかわる補助金

1.はじめに

ロボットを導入するための設備投資金額は、高額な場合が少なくありません。そこで、国や自治体のロボット導入に活用できる補助金制度、優遇税制について紹介します。今年はこれまでの補助金に加え、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、事業再構築を支援する「事業再構築補助金」や対人接触の減少に資する製品・サービスの開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資、システム構築等を支援するものづくり補助金の特別枠「低感染リスク型ビジネス枠」も創設されました。

 

なお、これらの補助金制度は、新しく登場する補助金もある一方で、終了となる補助金もあるので、活用を検討される場合には、最新の情報を確認してください。

【この連載の前回:第10回 無人搬送ロボットへのリンク】 

2.ロボット導入にかかわる補助金制度

ロボット導入にかかわる補助金制度には、次のようなものがあります。

 

(1)中小企業等事業再構築事業

ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するというものです。補助額は、中小企業通常枠で100万~6,000万円です。ただし、3か月の合計売上高が、コロナ以前と比較して10%以上減少しているなどの申請要件があるので、応募を検討される場合は、申請要件をよく確認してください。

 

図1 事業再構築補助金の活用イメージ
出典:中小企業庁「事業再構築補助金パンフレット」

 

(2)ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や賃上げ等)に対応するため、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援する補助金です。補助上限1,000万円、補助率1/2(原則)で、新製品・サービス開発や生産プロセス改善等のための設備投資を支援します。

 

図2 ものづくり補助金の条件
出典:中小企業庁「ものづくり補助金パンフレット」

 

また、新型コロナウイルスの影響を受け、ビジネスモデルの転換に向けた投資を行う事業者に、通常枠とは別に補助率を引き上げ、営業経費を補助対象とした「新特別枠」として、低感染リスク型ビジネス枠を新たに設け、優先的に支援します。

 

3.地域産業デジタル化支援事業

この事業は、地域経済を牽引する企業のデジタル化を支援し、地域の高生産性・高付加価値企業群を創出・強化することを目的としています。具体的には、地域未来牽引企業等、事業管理機関、IT企業等が連携して取り組む、新事業実証(試作、顧客ヒアリング、事業性評価と改善等)による地域産業のデジタル化のモデルケース創出、地域への横展開を目指しています。

 

4.ロボット導入にかかわる優遇税制

ロボット導入にかかわる優遇税制には、次のようなものがあります。

 

(1)中小企業経営強化税制

この制度は、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を取得や製作等した場合に、即時償却又は取得価額の税額控除が選択適用できるというものです。

 

 

中小企業・小規模事業者は経営力向上のための人材育成や財務管理、設備投資などの取り組みを申請、認定されることで固定資産税の軽減措置や各種金融支援が受けられます。また、対象設備も従来の「機械及び装置」に「器具及び備品」が追加され、幅広い領域での適用が可能となりました。

 

(2)中小企業投資促進税制

この制度は、中小企業における生産性向上を図るため、一定の機械装置等の対象設備を取得や製作等した場合に、特別償却、又は税額控除の支援を受けることができます。

 

万円以下)特別償却30%もしくは税額控除7%
  • 支援内容 ②(資本金3,000万円超~1億円以下)特別償却30%
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    5.固定資産税の特例

    中小企業等経営強化法上に規定する認定先端設備等導入計画に基づく設備投資について、臨時・異例の措置として、市町村(東京都特別区にあっては東京都)の判断により、新規取得される事業用家屋及び償却資産に係る固定資産税が最初の3年間最大0~1/2間で、課税標準を市町村の条例で定める割合に軽減されます。

     

    図3 固定資産税の特例の流れ
    出典:中小企業庁「中小企業税制パンフレット」

     

    この他にも、各都道府県において、介護ロボットの導入支援補助金などもあります。必要に応じて、ぜひ補助金制度、優遇税制の活用を検討してみてください。

     

    次回は、ロボットを活用できる人材の育成についてご説明します。

     

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