売上増の方向性としては、次の2つがあります。
- すでに市場にいる既存顧客を競合から奪い取る
- 市場規模を拡大すべく市場外からの新規顧客を増やす
どちらを選択すべきか、そしてどの程度達成したのかを判断するのが、次の2つの指標です。
この2つから作られるのが、浸透シェアです。浸透シェアは、市場シェアと密接な関係にある指標です。今回は「新規拡大か既存奪い取りを判断する指標『浸透率』と『浸透シェア』」というお話をします。
【目次】
1.市場浸透率
2.ブランド浸透率
3.浸透シェア
4.浸透率マップ
【この連載の前回:データ分析講座(その258)顧客生涯価値とはへのリンク】
1.市場浸透率
市場浸透率とは、全人口(もしくは全世帯)における対象カテゴリーのユーザの割合です。ユーザの定義は、そのカテゴリーに応じたもので問題ありません。例えば……
- 購入経験者
- 月1以上の頻度で購入している人
- 月1以上の頻度で利用している人
- 家庭内にある1つ以上ある世帯
- 有料会員
- 無料会員
……などなど。
例えば、携帯電話。ユーザを購入経験者にしてしまうと、ガラケーの市場浸透率は高いと思います。ユーザを月1以上の頻度で利用している人にすると、ガラケーの市場浸透率は低くなることでしょう。例えば、洗濯機。ユーザを月1以上の頻度で購入している人にしてしまうと、洗濯機の市場浸透率は高いと思います。ユーザを家庭内にある1つ以上ある世帯にすると、洗濯機の市場浸透率は高くなることでしょう。
2.ブランド浸透率
ブランド浸透率とは、全人口(もしくは全世帯)における対象ブランドのユーザの割合です。
ユーザの定義は、市場浸透率のユーザの定義と合わせます。当然ですが、ブランド浸透率の上限は、市場浸透率になります。市場浸透率が大きくならないことには、ブランド浸透率が大きく伸びることはありません。市場浸透率が小さく、その伸長率が低い場合には、自社ブランドで市場浸透率を伸ばす努力をするか、その市場から撤退するか、という判断になるかと思います。
また、市場浸透率が十分大きいのに、相対的にブランド浸透率が小さい場合、その市場内で競合から奪い取る必要が出てきます。何はともあれ、ブランド浸透率は市場浸透率と比較し分析するケースが多いです。
3.浸透シェア
浸透シェアとは、ブランド浸透率を市場浸透率で割った値です。
もしくは、対象ブランドのユーザ数を対象カテゴリーのユーザ数で割った値です。市場浸透率に対する相対的なブランド浸透率の大きさを見る指標です。先程説明した市場浸透率とブランド浸透率と合わせてモニタリングすることが多いです。
4.浸透率マップ(横軸:市場浸透率、縦軸:浸透シェア)
3つの指標(市場浸透率・ブランド浸透率・浸透シェア)を時系列の棒グラフや折れ線でモニタリングするの...
もいいですが、例えば以下のような浸透率マップ(横軸:市場浸透率、縦軸:浸透シェア)を作りモニタリングするケースもあります。
このとき、原点からの面積がブランド浸透率の値になります。
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